テイクルートのハーレー スプリンガーEVO(エボリューション)のボバーチョッパー FLSTF 1996年

H-D FLSTF 1996
Take Root

November 26th, 2025

80を前にする
親子で見た蜃気楼

毎回、いろいろと思い知らされる店主だ。いつも忙しなく動き回り、それはたいがいが原付や小排気量車のオイル交換やメンテナンスだったりする。

そんな姿を前に、『絵になる男』とひと言で片づけてしまえばそれまでだが、そのフレーズだけでは事足りない地元客との温かなやり取りもまた、胸に響くものがある。

テイクルートのハーレー スプリンガーEVO(エボリューション)のボバーチョッパー FLSTF 1996年

ハーレー専門ショップではなく、むしろ普段はそれ以外の車両をさばくのに精を出している。が、ひとたびハーレーと向き合えば、かつて日本有数のカスタムショップで勲功を立ててきた才腕がふるわれることになる。この緩急自在のマナーはただしく、町のバイク屋風情そのものだ。

テイクルートのハーレー スプリンガーEVO(エボリューション)のボバーチョッパー FLSTF 1996年

こちらは、店主阿部さんの父親のバイクである。高齢になってきたことで、年配者が好んで乗るFL系の重い車体ではなく、逆に軽いチョッパーに乗りましょうと、提案したものだそうだ。そこでベース車両を見付け出し、これで俺にやらせてくれと、テンポよく話はまとまった。

「たしか77歳になったはず。まあ親父がタオルのデザインの仕事をしているから、塗装はいつもとはちょっと違う唐草っぽいグラフィックにしてもらってます。綺麗なのが好きだからそうした感じですね」

テイクルートのハーレー スプリンガーEVO(エボリューション)のボバーチョッパー FLSTF 1996年

御年77歳というパワーワードが衝撃だ。しかも今も現役のライダーで、このチョッパーを日常の足に使っていると聞けば、おぼろげながら阿部さんの血筋というものが理解できる。

というより、氏の二輪車に囲まれた日常を見てきた側(がわ)からすれば、これほど痛快な答え合わせもない。なるほど、血は争えないわけだ。

テイクルートのハーレー スプリンガーEVO(エボリューション)のボバーチョッパー FLSTF 1996年

フロントフォークには、自身が使用していた2インチ詰めのスプリンガーを設置。純正品を詰めた加工のためあまり推奨しないパーツだが、父親だったら何か問題があっても許容できると判断して移譲。

そして、ガスタンクやリアフェンダー、ハンドル、マフラーといったワンオフの外装は、これまでの実地で培ってきたバランス感覚で構築。『テイクルート』の色が全面に出たスリム&コンパクトな装いで仕上げられている。

テイクルートのハーレー スプリンガーEVO(エボリューション)のボバーチョッパー FLSTF 1996年

ライディングポジションもいい。手を伸ばした先にごく自然にあるハンドル位置に、同じく足を下ろした延長線上に無理なく配されたステップ位置。世の高齢者が不思議と乗りにくい大柄な車体へと群れ集まっていくのに対して、こちらは至ってスマートだ。

そもそも、バイクに興味を持ったきっかけは父親の影響だったと阿部さんは言う。夕陽を背に、優しげな目元がほころんでいる。

HARLEY-DAVIDSON FLSTF 1996 DETAIL WORK

スプリンガーEVOのボバーチョッパー FLSTF 1996年のハンドル

HANDLE

若干の絞りを利かせたワンオフのミディアムエイプバーは『テイクルート』の十八番。操作性も高いパート。

スプリンガーEVOのボバーチョッパー FLSTF 1996年のフロントフォーク

FRONT FORK

自身が使っていた2インチ詰めの純正スプリンガーを移譲。ヘッドライトはダンパーの上方でハイマウント。

スプリンガーEVOのボバーチョッパー FLSTF 1996年のガスタンク

GAS TANK

他のカスタムではやらないと言うシルバーリーフを使ったグラフィック。父親の趣向を取り入れた雅な塗装。

スプリンガーEVOのボバーチョッパー FLSTF 1996年のマフラー

MUFFLER

操作系にはミッドコントロールを配備。マフラーはエンド部をわずかにターンアウトさせたショートタイプ。

スプリンガーEVOのボバーチョッパー FLSTF 1996年のリアエンド

REAR END

リアフェンダーもソリッドカラーの上に唐草リーフを。フェンダーステーとチェーンカバーはシンプルに造作。

スプリンガーEVOのボバーチョッパー FLSTF 1996年のリアホイール

REAR WHEEL

前々から試してみたかったリムの丸い社外製リアホイール。値が張るため親父に頼んで付けてみたそうだ。

BUILDER’S VOICE

Take Root

住所 愛媛県今治市郷六ケ内町3-1-10
電話 0898-23-5294
FAX 0898-31-9893
SHOP Take Rootのショップ紹介
営業時間 9:00 ~ 18:30(平日)/9:00 ~ 17:00(日曜祝日)
定休日 水曜日、第3木曜日