
BUELL LIGHTNING X1 2000
MAD LOUT MOTORCYCLE
Vツインエンジンカスタム三部作
完結編となるエンデューロレーサー
「奇を衒(てら)う」という言葉は、いい意味で使われることは少ない。しかしカスタムバイクにおいてはわざと変わったことする、人の注意を引きつけようとするのは、ごく自然な行為だ。
1200ccの巨大なモンスターエンジンをエンデューロバイクに搭載する。まさに奇を衒った表現だが、それには崇高な信念があった。

「ベンツのマーク、スリーポインテッドスターには陸・海・空のすべてを制覇するっていう意味が込められているんです。その発想ってカッコいいなと思って」と、静かに語り出した住友さん。徳島にショップを構える『マッドラウトモーターサイクル』の主人だ。
スリーポインテッドスターに着想を得て、ハーレーのエンジンを搭載したオンロード、オフロード、ストリートのフルカスタム三部作を作った。
オンロードは以前に作ったXRのカフェレーサー。ストリートはディガー。その三部作の完結編となるオフバージョンが、このビューエルX1がベースとなったエンデューロレーサーだ。

住友さんはカスタムショップを営みながら、プライベートではエンデューロレースに勤しんでいる。オフロードはバイクを操る上で一番難易度が高いので面白いという反面、オンロードに比べてスピードレンジが低いのでケガもしにくい。ずっと続けていけるスポーツのひとつと思っていると言う。
普段からオフロードバイクに触れているので、ハーレーエンジンでエンデューロレーサーを作るのは必然だった。

「自分が一番好きなVツインを使って、自分が好きなオフロードバイクを作りましたみたいな感じ。誰の意見も聞かず、作りたいように作ったんです」と我を通した作品だ。
トップランクの大好物ゆえにこだわりも強い。外観イメージより、本髄であるオフロード性能を高めることからプロジェクトはスタートした。

「きちんとオフロードを走れる足、サスペンションの配置からはじまりました。『こう動かしたい』という理想があったので、リアのサスペンションは3回くらい作り直しました」
強い心臓に優れた足を得て完成した三部作の完結編。オフロードラリーに参戦、完走することでそのスペックを体感。見た目だけのエンデューロレーサーではなく、確実な手応えも感じた1台となった。

そして後日。すぐ上の写真のように、オフロードからモタード仕様に変更したとの報(しら)せを得た。「やっておきたかった」と画策した三部作は現在、オフからオンロードへ舵をきっている。
(文/野上真一)
BUELL LIGHTNING X1 2000 DETAIL WORK

HANDLE
ハンドル周りはプロテーパーを組む。レバーはエンデューロ経験者なら知る、転倒しても折れないARCを採用。

FRONT FORK
ヘッドライトカバー、サイドシュラウド、フェンダーは、オフロードで信頼性の高いハスクバーナーから流用。

PAINT
左右で異なるアートワークが施されている。右側はビルダーが担当し、左側は広島のローピースデザインが描いた。

MUFFLER
本来は右側に抜きたかったが、リアショックのサブタンクがあるため、フロント経由で左側に取り回されている。

OFF ROAD TIRE
オフ固有のブロックタイヤをセット。ハスクバーナー製スイングアームを流用し、アライメントが合うよう改変。

ON ROAD TIRE
オフロードからモタードスタイルに。タイヤを換えることで表情を一新。俊敏な走りでストリートを跳躍する。
BUILDER’S VOICE
MAD LOUT MOTORCYCLE
| 住所 | 徳島県吉野川市山川町湯立239-1 |
|---|---|
| 電話 | 088-342-5039 |
| FAX | 088-342-4340 |
| SHOP | MAD LOUT MOTORCYCLEのショップ紹介 |
| 営業時間 | 9:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 火曜日 |

H-D SHOVELHEAD 1979
H-D FLHX 2007







