
H-D EVOLUTION 1986
RE:RIDE CUSTOM & SERVICE
カウンターカルチャー90’s
EVOのフリスコチョッパー
あの当時のスタイルで現代を走る。ひとつのマイルストーンとなるのは1980’sや90’sだったりするのだが、作り手の歴史観があやふやだと、80’sと90’sのスタイルが混ざり合ったりしてしまう。
カウンターカルチャーに傾倒してきたこだわり派にしか作れないのが、かつてのスタイルというものだ。

このフリスコスタイルのマイルストーンとなったのは1990年代。1986年式のEVOLUTION(EVO)モーターをベースにカスタムするのだから、80’s当時は新車だったはずなので時代が合いすぎてフリスコ特有の攻撃性があまり出ない。90’sこそベース車にマッチする。
一方で、フリスコらしさを押し出すには、大きなEVOフレームではカッコがつかない。コンパクトな汎用フレームに組み替えるという手もあるが、店主山内さんにその選択肢はなかった。

「汎用のカスタムフレームだとネックが寝てたり、ひとまわり大きいんですよ。とにかく細く小さく作りたかったんで、ショベルの純正フレームを使ったんです」
大きなEVOモーターは、簡単にはショベル純正フレームに載らない。そこで思いつくのはダウンチューブを伸ばすことだが、それでは’84年以降の大きな純正フレームと変わらなくなってしまう。

そこでこのチョッパーの見どころである、“細く小さく”というコンセプトのため1台限りの治具を組んだ。鋳物を外し、ネック角を起こしてから再び鋳物を戻し、ショベル純正フレームに加工を施した。
しかし、そんな誰も気づかないような苦心の作業も「昔からよくやっているので、特殊なことではないですね」と、さらっと答える。

ちなみにEVOモーター搭載ではあるが、ミッションはショベル純正の4速。ここも無加工で取り付けというわけにはいかない箇所。
さらにはパーツ類も’90年代モノにこだわった。いまやアメリカに買い付けに行かなくても、オンラインで容易に手に入る時代。しかし、当時から希少だったモノを30年後のいま探しても簡単には見つからない。’90年代はワイドが主流。ナローなフロントホイールを見つけるのは困難を極めた。

でもパーツを手に入れたからといって、そのままポン付けしても目指すスタイルにはならない。フロントフォークは∅35を6インチ伸ばし、トリプルツリーを当時のビレットのようにメッキ加工し、質感的にまで筋を通した。
「純正のままだとゴツゴツしててビレット感がないですからね」と、理想とするフリスコスタイルの実現には丹念な配慮がのぞく。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON EVOLUTION 1986 DETAIL WORK

FRONT WHEEL
スタージス製のリア側は簡単に見付けることができたが、反逆的なナローのフロントは入手に困難を極めた。

GAS TANK
首都高に似合うような車両にしたかったため、少しでも燃料を稼ぐよう純正オプションのキングタンクを装着。

FOOT CONTROL
当時を知るカスタム屋のオリジナルパーツのような風格であるが、H-D純正オプションのペグ周りだ。

SEAT
当時モノのカスタムシートは滑りやすいので、後部にハウゼンブロス製ステーを装着しホールド感を高めた。

FENDER
リアフェンダーやクロッカーテールのレプリカなど落ち着きのある同一色塗装は、フェアレディZの純正色。

MUFFLER
EVOシリンダーとダウンチューブのわずかばかりの隙間を、ショットガンのフロントマフラーが正鵠を射る。
BUILDER’S VOICE
RE:RIDE CUSTOM & SERVICE
| 住所 | 東京都大田区羽田3-24-12 |
|---|---|
| 電話 | 03-6423-2366 |
| FAX | 03-6423-2366 |
| SHOP | RE:RIDE CUSTOM & SERVICEのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 不定休 |

H-D FL 1954
H-D FX 1977







