
陸王RQ 1953
A.A.R.
モーニングエッグと
密なるスローなブギ
ハーレーのフラットヘッドを語るとき、何はなくとも名前の挙がる北陸知名のショップだ。WL系のパーツ販売に始まり、カスタムやメンテナンスといったフェイストゥフェイスの現業までをカバーし、来店者が日々持ち込んでくる胸いっぱいの期待にそれぞれに応えている。

今回のオーナーが胸に抱えてきた想いは、砂浜でのスピードレース『千里浜サンドフラッツ』に出走すること。大の大人を夢中にさせる、その浪漫にも似た要請を受けて店主の宮崎さんがたぎらないわけもなかった。
見た目こそ常に平静そのものの氏だが、本人自身サンドレースに出るフリークゆえ、その心拍数が瞬く間にオーナーと共振してしまうのは無理もない。

陸王RQがベースである。1930~’50年代にかけて、ハーレーダビッドソンの正式なライセンスを得て製造された『和製ハーレー』として歴史に名を残すメーカーだが、その陸王を使いサンドレース仕様にしたのがこちらだ。
「いまは街乗り仕様に戻してますけど結局サンドレースに出場する用です。ポイントですか? まあジェネレーター部分にマグネトーを付けたところですかね」

この、普通付かない物をいかにして取り付けたのか。尋ねれば、WRなどでマグネトーが付いてる車両がありそれを以前バラした経験があることからどうにか加工したのだと言う。
大体の構造が分かっていてパーツ自体も供給されていたからなんとかなったと、その苦労とは裏腹に実に宮崎さんらしい淡泊な返答である。
「マグネトーは調子が上がるというよりスタイル的なものの方が大きいと思います。本人の好みですよね。あとホイールはインディアンの純正ですけど、これほぼワンオフしてます」

インディアンの小排気量モデル『ウォーリア』のフォークを用い、それに準じたホイールを装着。と試みたが、ホイール自体がなく知人からハブを買うところからスタートした。
一切のデータが無く不明だったが、そのハブから合いそうなリムを割り出し英車のリムを選出。スポークのチョイスも同様に分からなかったがそこはスポーク職人に頼んで一品製作してもらった。

「まあいい感じになったとは思います。コンパクトに見えるのは何か特別なことをしているのではなく、そもそもこれぐらいじゃないですかね」
オーナーは現在’47年式Uとの2台持ちだそうだ。最近はもっぱらこの陸王の出番が多く、「遅いけど楽しい」と、旧車ラバーにしか理解しにくい蜜なる言葉の返しが、耳に心地いい。
陸王RQ 1953 DETAIL WORK

HANDLE
ハンドルとライザーは共にフランダースレプリカを装着。オーナーの体格に合わせたワイズのあるタイプを選出。

FRONT FORK
オールドインディアンの小排気量モデル『ウォーリア』のフォークをセット。ヘッドライトはトラクター用を。

GAS TANK
純正の陸王タンクを使いコンパクトにリサイズ。中央の凹みのあるメーターマウント部からカットして改変。

MUFFLER
快活に弾けるドラッグパイプを設置。エンジンはキャブとカムを換え、沢山吸入して燃焼できる仕様とした。

SEAT
バイク全体の風合いと一体化するシートには名品ベイツ製を。車格のコンパクトなサイズ感にもよく馴染む。

REAR FENDER
ボバーフェンダーレプリカに静岡マンクスマンガレージ製テールライトを。塗装にエイジングペイントを施す。
BUILDER’S VOICE
A.A.R.
| 住所 | 石川県金沢市専光寺ワ59-1 |
|---|---|
| 電話 | 076-267-8511 |
| FAX | 076-267-8522 |
| SHOP | A.A.R.のショップ紹介 |
| 営業時間 | 11:00 ~ 20:00 |
| 定休日 | 土曜日 |

H-D EARLY SHOVELHEAD 1968
H-D FLH 1966







