
TRIUMPH T110 1954
FONK MOTORCYCLE
目抜き通りでさやぐ
漂流のブルーラグーン
「元々ウチにあったバイクを気に入っていただいて、でまあ普通に黒色に塗装されてるちょっと味気ない感じだったので、それをベースにカスタムしたいというお話をいただいたのが最初ですね」
折り目正しい丁寧な所作でそう説明してくれるのは店主の淡路さんである。日本を代表する港湾都市、神戸をテリトリーとした固有のハイブレッドな雰囲気は氏を象徴するキャラクターのひとつだが、その人となりは手がけるカスタムにもおのずと伝染。
特別図抜けた作り込みやトリックが仕込まれているわけではないのにどこか目を引く存在感は、内部から湧き出るその都会的エッセンスによるものだろう。
「全体的にはわりとお任せでやらせていただいてます。ただオーナーさんもトラッカーとかデザートスレッドとかのテイストを好まれてたので、そういう土くさい匂いも感じられるようなスタイルになっています」
とはいえ、カスタムの主柱に据えられるのは街乗り前提の『ストリートスタイル』。どのバイクもこの第一義的ゴスペルありきで、それぞれのオーナーが希望するカタチへと緩急が使い分けられている。
そして、今回のポイントとしてひとつ心掛けられたのは『キャッチーな空気感』。ガチガチに当時のレーススタイルを作るのではなく、ストリートで映える色味の遊び心と、現代的パーツでのアップグレードに重心が置かれた。
「ペイントのイメージを聞かれると難しいんですけど、それこそダニエルヒグスっていうアーティストの方がいらっしゃるんですね。僕がその方の絵が好きなんで、そういうニュアンスでというのでピンストライパーのポッツさんに相談してます」
骨格をつかさどるフレームを改作することなく、フロントに王道のセリアーニフォークをセットし、前後ホイールは19/18インチのフリスキー仕様。そこにオリジナルハンドルとフォグタイプのヘッドライトを合わせている。
また、外装のガスタンクには現地の職人が作る米国製を取り付け、マフラーは以前渡米した際にスワップミートで購入した一品を装着。そしてリアショックに鮮やかな白色が特徴の現行YSS製を採用するなど、リップサービスを廃した手の届くパーツ群で品よく組織された。
オーナーのまたがっている姿を想像しながら、白とブルーで彩った爽やかな一台になったと淡路さんは言う。そして氏の手元から自立してゆくバイクはやはり、由緒ある神戸の街並みでより艶やかに発色する。
TRIUMPH T110 1954 DETAIL WORK
HANDLE
フォンク製オリジナルバーを装着し、スイッチ類を外して極力シンプルに。テーマはデザートスレッドである。
FRONT FORK
フロントにはスタンダードなセリアーニ製35φフォークをセット。小ぶりなヘッドライトはフォグタイプを選択。
GAS TANK
米国の職人が現地で作るFRP製ガスタンクをマウント。ペイントは兵庫のピンストライパー、ポッツ氏が担当した。
OIL TANK
オイルタンクには当時のチョッパーパーツを採用。ユーモアあるグラフィックは同店特有の感性によるもの。
REAR SUSPENSION
アルミビレットのYSS製の現行リアショックを使う。マフラーはかつてスワップミートで購入した物を用立てる。
REAR FENDER
フェンダー周りは元々付いていた物を手を付けずにそのまま利用する。ホワイトシートはラズルダズル製。
BUILDER’S VOICE
FONK MOTORCYCLE
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