H-D FLH 1980
FORK × URAWUS

子供とのタンデムから始まる
オリジナルパーツの開発秘話

鋳物パーツメーカー『FORK』の長谷川さんが、前職からの長い付き合いになるカスタムショップ『URAWUS』の鈴木さんにオーダーしたカスタムバイクだ。

しばらく放置していた車両を乗れる状況に。そして、子供がまだ小さいうちに二人乗り出来るように。この二つのテーマに沿って進められた計画は、実は長谷川さんの奥さんの愛車である。

「子供がタンデムしやすいというのが反映されてて、シート厚もあって、シーシーバーも子供ががっつり寄りかかれるようにとか。あとはステップもちゃんと足が届くようにとかですよね」

加えて、山道でもひらひら走れるようにと軽快なスタイリングを意識して、前後に19／18インチホイールと39φフォークの使用を先に決めておき、そこから各所が創作された。

「パーツ開発も兼ねてと言いたいところだけど、そこまでカッコいい話じゃなくて必要にかられて作りました（笑）。もちろん作った中でこれは商品化した方が良いなと思うものは将来的にやっていく予定です」

まず、ミッドコントロール。「鋳物で作れたら面白いな」という好奇心からカタチにした部位は、アジャスタブル式になっているのがポイント。ベースプレートと鋳物部分は溶接されてなく別のパーツで構成されているため、決まった位置ではなく、鋳物部の回転でアジャストを利かせ、装着箇所の自由度を広げた仕様となっている。

フェンダーストラットも市販化を視野に据えた一品で、純正形状をベースにしながらよりラインをシャープにして製作。ステンレス材を用いた3枚構造からなり、表面は3mm厚で奥の骨材部は9mm厚で構成。このステンの重ね合わせでデザインを織り込み、材質的にも経年劣化の心配がない点も特長に挙げる。

その上のシッシーバーは現状では販売予定はないものの、お家芸の鋳物で仕上げたパートで、全スリーピースの部材を溶接してチリ合わせし、滑らかな3Dフォルムに完遂。

こうした鋳物でしか成しえない曲線美の発信がFORK固有の強みであり、目の肥えたファンの心をつかんで離さないファクターのひとつだろう。

更には、4速フレームでは鬼門となるリアサスの外側への張り出しを出来うる限り内側に寄せたマウントや、メインフレームのラグ部分を巧みに隠しつつ見栄えの向上も図ったガスタンクカバーなど、専門性の高い視点で練られた処方は数多い。

そして、それらはミッドコントロールを皮切りにして、これからひとつずつ吟味し市販化されていく予定だ。

HEAD LIGHT VISER

バイザーにFORK製シャークフィンバイザーを。ウインカーもオリジナルのアルミ砂型鋳造製をセットする。

HANDLE

FORK製バー&ナロークランプを装着。バイザー内にはごくタイトにインジケーターとメーターをマウント。

AIR CLEANER

自社製3Dラウンドエアクリーナーを選択。そこにプッシュロッドカバーと共にSILVER SMITH FINの彫金が入る。

MID CONTROL

プレートと内部の鋳物部分が別体のアジャスタブル式。クラッチドームはSHIUN CRAFT WORKSとのコラボ品。

MUFFLER

かつて販売していた最後の一つを使用。サス下側にオーバーロードマシナリー製ナローショックマウントを採用。

SISSY BAR

3Dデザインの鋳物製シッシーバー。ストラットはステン材のレーザーカットで、シートはスカンク製のワンオフ。