H-D SHOVELHEAD SPCN 2022
SUICIDE CUSTOMS
世界の一流が賞賛する
濡れ色に輝くクリスタル
海外を舞台にして華々しく活躍するビルダーのスペシャルマシンである。
これまで、『AMD WORLD CHAMPIONSHIP』を始めとした数々の世界最高峰のショーでアワードに輝いてきた坂口さんだが、この新作も例外でなく、由緒ある米国の『STURGIS MOTORCYCLE RALLY』のカスタムシリーズで最も栄えある『KING OF STURGIS』に選出されたものだ。
圧巻のクオリティで仕上げられたフルスクラッチの一台。機械加工を駆使してかたどられたスタイリングのどの部分を取っても一点の隙もなく精緻に構築され、その全てのセクションが静かに呼応し合うことで、どこか荘厳な佇まいすら漂わせている。
先鋭の複合機を使ったフレームワークから見てみたい。無垢棒から加工したパイプのネック部は、段差を入れたワンピースのスリットデザインに成形。五軸のCNC旋盤を自在に操ることでメインやダウンチューブのフレームパイプをそれぞれに用意し、それを接合することで機械加工固有の美しいフィニッシュでまとめている。
「簡単に言うと五軸みたいな感じの旋盤バージョンで物凄く時間がかかるんです。まあ機械を触らない人はそれ機械で作っただけじゃんって思うかもしれないけど、材料を回すチャックと刃物の両方を回転させて作るんでそうではないんですよ」
一方、叩き出して製出したガスタンクは一番下がガソリンで、その上にリブを巻いた白銀のクリアランスを設け、その上部がオイルタンクとなっている。
また、リアフェンダーは縁にリブを添えた形状のものをキャスト(鋳造)で製作。それを更に切削し面を出してととのえている。そしてこの鋳造を用いた工程は、鈑金での表現法には限界を感じたためで、そのディテイルに深みと厚みをもたすためだそうだ。
エンジンはどうだろう。珠玉のハーマン製120キュービックモーターに、ワンオフのロッカーカバーとカラタ製マグネトーを配備。しかしそのままでは物足りないことから、ハーマン製フロントのヘッドを2個使ったフロントダブルヘッド仕様で武装。
勿論そのまますんなり組み付けとはいかず、微妙にずれた穴ピッチを計測し直し、再度ヘッドに合わせて鋳通して調整している。
ほかにも、マシニングで創出した前後ホイールや、レーザーカットで切り出した後に穴周りを滑らかなアールで処理した3Dローターなど、ディテイルのひとつひとつの存在感が鋭く尖っていて、そこには理屈抜きでほとばしり出る心持ちがある。陽光を受けたクリスタルガラスのような、曇りなく光り輝く美巧だ。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD SPCN 2022 DETAIL WORK
FRONT FORK
フロントフォークはマシニングで切削したビレットセクション。ハンドルは複合機を使い3Dデザインに成形。
FRONT WHEEL
ワンピースのホイール&ローター。通常とは逆の発想でフローティングマウント。キャリパーはフォーク裏に潜む。
GAS TANK
叩き出しのガスタンクは下部がガソリンで上部がオイルタンクの構造。トップには立体的デザインが与えられた。
ENGINE
かの名品ハーマン製モーターのフロントのヘッドを2個使用したダブルヘッド仕様。ロッカーカバーはワンオフ。
KICKER COVER
ミッドコントロール、油圧クラッチ、リアブレーキのマスターがキッカーカバーでワンピースになった一体機構。
REAR WHEEL
ワンピースで製出されたホイール&スプロケット。エアバルブはリムではなくスポークに目立たないよう配置。
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