H-D SHOVELHEAD 1967
VIDA MOTORCYCLE
いよいよ抜き差しならない
小悪魔とのロシアンルーレット
昨年末の『2023横浜ホットロッドカスタムショー』で、数ある出展車両の中からCUSTOM FRONT’S PICKを授与させていただいたマシンである。では、何故このカスタムだったのか。
ウルトラC的作り込みや最新鋭の技術を投入した特級のカスタムマシンなど、国内総出の猛者がひしめく中でその選出の決め手となったのは『色気』である。あの会場内において、この均整の取れたチョッパーフォルムから漏れ出るフェロモンは、もうかなりマズイことになっていた。
福岡県の『ヴィダモーターサイクル』固有の艶っぽさが全体を覆う一台である。「インベーダーホイールを履かせたコンパクトなチョッパーが欲しい」という依頼を受けて、それではショーに出せるクオリティで作り込みますと、同店が描出した回答がこのマシン。
まず、米国より取り寄せたインベーダーホイールの装着にあたり、リアにシングルフランジ加工を施しスプロケットブレーキをセット。これはシンプルな構造を計ったのと、ホイールを際立たせるための施策である。
フレームもレプリカフレームの長さなどはそのままだが、ダウンチューブのサイドカーループやタンク下の補強やエンジンマウントといったスムージング出来る箇所は徹底的にクリーンフィニッシュ。更に、ネックの鋳物部分は穴開け後に成形するといった追加工を講じ、ディテイルの完膚な処理に余念がない。
各所に配されたステーにも作り手の並ならないテンションはそのまま投影される。足周りのフットステーやフェンダーステー、ハンドシフトのリンケージに至るまでが旋盤とフライス盤を駆使してデザインされた一品群で共同戦線を配備。そしてこの、無垢棒をただ切った貼ったで済まさないのが本気モードに入った『ヴィダ』のカスタムマナーでもある。
一方、ミッション周りの機能的なセクションにも業を秘める。そもそもアーリータイプだとメインシャフトが短いため長い物に変更し、それに準じてフロントのクランク側プーリーも外側へオフセットする必要がある。
そのためクランクとプーリー間にできる約1インチの隙間にアルミブロックをマウントし、その表上にフットコントロールブラケットを固定。見た目に違和感のない収まり具合で遂行された。
当然のこととしてひと手間ふた手間加える作業が随所で脈打っている。しかし息を詰めるのはやはり、無機質な金属に与えられた色香の部分で、そこには思わず指先でそっとなぞりたくなるような小悪魔的情感がある。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1967 DETAIL WORK
HANDLE
ライザーはオリジナルのアルミ削り出し品を。ジャストな長さで製作されたハンドルはインナースロットル化。
FRAME
基本ディメンションは変えず不要な鋳物部分をカットして綺麗にスムージング。ネック周りは穴開け後に成形。
GAS TANK
研ぎ澄ました見事なラインで製作。前後のタンクマウントがアクセントに。塗装は旧知の420KUSTOMSが担当。
FOOT CONTROL
フットペグとステーはワンオフ。1本の無垢棒から旋盤とフライス盤を使ってデザイン。高次の作りが披露される。
FENDER STAY
意匠を凝らしたフェンダーステーとナンバーステーも同様にステンレス製で創出。スプロケットブレーキを配置。
MUFFLER
2本出しストレートパイプは、全体のスタイリッシュな陰影にフィットするよう後方を上げマウントさせる。
BUILDER’S VOICE
VIDA MOTORCYCLE
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