H-D XLH883 2002 “BRUTESTER”
RULER
街にもダートにも映える
美しき野獣、ブルートスター
スクランブラーというカテゴリーが今のような市民権を得る以前からそれに着目し、数々の快作を世に放ってきた『Ruler』。今回紹介するマシンは、これまでの作をさらにエッジィに昇華させた一台だ。
「オーナーさんからのオーダーは『他に無いようなスタイル』というものでした。海外ビルダーのカスタム画像を幾つかお持ち頂いたので、それも参考に制作をスタートしました」と、ビルダー水田さん。
最初に決めたのは車高だ。アドベンチャーバイク然としたスタイルを念頭に、前後サスのセッティングを見定め、そこからフェンダーやシート、ヘッドライトなどの外装を、バランスを注視しつつ選択していった。
そして、このマシンを語る上で最も欠かせないセクションはその顔面、ヘッドライト周りだろう。HONDA BAJAを彷彿とさせる80’sの薫り漂うデュアルライト。マシンの粗野な魅力をさらに加速させている。
他の外装類にも着眼したい。前後フェンダーはオフロードブランドUFO製をチョイスし、ダート感を演出。シートは外装類とのバランスに留意しつつ、程よい厚みとホールド感を持たせて製作した質実剛健な一点物だ。
それでいてガスタンクは純正スタイルを保っている。「スポーツスター『らしさ』を残したかったんです。やはりこのタンクはスポーツのアイコンですから」。
ペイントも見過ごせない箇所だ。黒へのこだわりを持つオーナーに応え、ネジ一本までブラックアウトしているが、車体全体を見渡せばツヤあり、マット、リンクル(荒・細)、セラコート、DLCコーティングなど、実に多様な『黒』を用いることで立体感やコントラストを創り出している。
福岡の『FFF(スリーエフ)』末永さんによるガンメタをベースとした外装にはゼブラ柄が描かれ、タンクを上面から見たパターンはシマウマの顔面を思わせる。
一方、動物的なパートは他にも散見。有機的な軌道を描くエキゾーストとサイレンサーはコブラを連想させ、エッジの効いたナックルガードはガゼルの角のように見える。2つ目のヘッドライトもどこか生物感を感じさせるものだ。
走行性能も折り紙付きで、吸排気系を換装しパワフルな走りを実現するそうだ。ホイールはフロント19/リア18インチでタイヤにミシュラン・アナーキーワイルドを履かせ、オンオフ共に優れた走行性能を発揮させる。
このマシンは『BRUTESTER(ブルートスター)』と名付けられた。野獣の獰猛さを意味する『BRUTE』に、スポーツスターの『STER』。軽快にして獰猛、ルーラー会心の傑作がここに産まれた。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON XLH883 2002 “BRUTESTER” DETAIL WORK
HEADLIGHT
PIAAのドライビングライト。ステーはライトの外径とラインを揃えるように、絶妙な造形とサイジングで製作。
GAS TANK
タンク上に浮かび上がるゼブラの顔をイメージしたグラフィックは『FFF(スリーエフ)』末永さんによるもの。
FOOT STEP
ステップ類はクリヤキンのデリンジャーシリーズを採用。カットしたカムカバーや、黒の塗り分けにも注目したい。
SEAT
ライディング時のホールド感、グリップを重視しつつタイトなルックスに仕上げたシートは『スタイル』が製作。
MUFFLER
有機的な軌道のパイプとHPコルセのサイレンサーの組み合わせで鎌首を上げたコブラをイメージした排気系。
REAR SUSPENSION
リアサスはレーシングブロスジャパンの335mm。ローターはセラコート。ブロックタイヤがその存在を主張する。
BUILDER’S VOICE
RULER
住所 | 福岡県朝倉市来春369-1 |
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FAX | 0946-23-9409 |
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