H-D XR1200X 2010
MAD LOUT MOTORCYCLE
先の見えない
不可抗力の興奮
「ずっと昔からこういうのを作ってみたいなと思ってて、それを形にしたっていう感じですかね。特にこれといったカテゴライズとかも分からないんですけど、いうなれば『ネオカフェ』とかそっちになるのかなとは思います」
カスタム好きだけではなく、もっと範囲を広げて、オートバイ好きならきっと多くの人が目を留めるフォルムである。オートバイほど個人の趣味嗜好が投影される趣味もそうそうないが、その中でも二輪車が持つ本質的な『情感』がそこにある。
作り手の住友さんは、特別何かを意識するでもなく、手を動かしていったら自然とこうなったと言う。しかしその過程では、頭の中で何十回、何百回とイメージを膨らませ、それを作っては壊し作っては壊しを繰り返していくうちに最終的に残ったのがこのデザインだった。
「ぱっと見いで言うとマフラーがポイントになるんでしょうけど、どちらかというとガスタンクです。タンク下のインテークとかがタンクの中に入ってて、ココが一番大変だった部分ではありますね」
ベース車のXR1200Xに採用されるのが電子制御のアクティブエアインテークシステムで、エアクリーナーカバーとエア導入口は本来ならばタンク右下に設置。しかしそれをタンク内に収め、空気を取り入れるためにヘッドライトを左にオフセットマウントし、ライト本体に整流板を意識したフィンを付けることで安定した供給を図っている。
また、ガスタンクとリアカウルは鉄材で一品製作したもので、タンク表面のオレンジラインでトレースした立体的造形は、鈑金ハンダという技術で成形したものだ。そしてこれは、1940~’50年代にホットロッドカーを修繕する技法として用いられたものだそうで、美しい処理がキモとなる。
「カフェスタイルを意識してるわけじゃなくて、元々は速いバイクが好きなんです。だから速く走るためにはこんな感じかなぁみたいな。でまあ、出来上がったらネオカフェだったみたいなだけの話ですかね」
チョッパーからカフェスタイルまでを縦横にこね上げる住友さんからは、何か新種の興奮を覚える。あえて例えるなら、ジェットコースター。大空に続くレールの上を、コツコツと引き上げられてゆく。これに乗ったのは自分の意思だけど、そこからの展開はもう、どうにもならない。スピードをコントロールすることも、止めることももちろんできない。そんな身をゆだねるしかないエキサイティングが、氏の繰り出すカスタムにはある。
HARLEY-DAVIDSON XR1200X 2010 DETAIL WORK
HEAD LIGHT
Vロッド用ライトのボディに整流板を意図したフィンを設置。一番下のフィンはチューブをはめ込んだウインカー。
GAS TANK
鉄でワンオフしたタンク内にエアインテークシステムとエア導入口を収納。表面は鈑金ハンダで立体的に成形。
MUFFLER
トリッキーに取り回されたマフラーはステン材で製作。外注に依頼したエンドキャップはヘラ絞りのカーボン製。
REAR COWL
流線形の別体式カウルは鉄を使い単一で創作。その下の曲線を描いたオイルタンクはフレームと一体化させる。
REAR SUSPENSION
リアサスペンションはオーリンズ製。このカフェレーサーはしっかりと機能するパーツにもウエイトが置かれた。
REAR END
テールのフィンデザインにライトが埋め込まれる。両サイドはウインカーで、中央がテールライトとなる。
BUILDER’S VOICE
MAD LOUT MOTORCYCLE
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