H-D KH 1956
MOTOR CYCLE PANDEMIC
華麗に攻戦する
水中のヴィーナス
2014年の創業から着々と地盤を固め、いま、千葉の地にぐるりと波紋を広げ、評判を手中に収めている。店主の嶋田さんと一度でも交差すれば分かるが、ごく自然体で来訪者を迎える姿勢には人間的な魅力がある。まっすぐ邪気のない男っぷりは、年輩から若手のバイク乗り達までがこぞって足を運ぶ頼りの正面玄関だ。
今回、完全にショーバイクとして製作したのは、’56年式KHを素材にした一台。KHの華奢なボディを最大限に活かすため、『コンパクトなレーサー』をテーマに仕上げたそうだ。そして、横浜ホットロッドカスタムショーに出展するにあたってのショーネームは『マーメイドボム』。
「レーサーがコンセプトなんであくまでガンガン走れるように作ってます。あとマーメイドの表現として、水辺から上がって来た髪をハンドルで現して、タンクのセンターリブに関しては背骨で、後ろのマフラーやフェンダー周りは尾ひれみたいなイメージですね」
思考回路が実に豊かだ。有機体をイメージソースにするだけでも珍しいが、更にもうひとつ踏み込んで参考にしたのは、伝説の生き物とされるマーメイドである。まっさらなキャンバスに描く絵は人それぞれだが、その対象とする物で描き手のだいたいの人となりを推測することは出来る。そして、決まった枠にはまらないこの澄んだ発想は、やはり嶋田さんの人柄をよく現したものだ。
骨格には、KフレームにKRのボルトオンハードテイルを装着。そのフレーム内を通した左右出しのマフラーと、下側から扇状に広がるリアフェンダーの加工には労力を費やしたと言う。これは扇状にすることでの後ろから見た時のインパクトと、左右マフラーのクリアランス確保のための施工である。
「実は最初に短いマフラーを付けてみたんですけど、それだとあまりにも良い感じにまとまるんで止めました。それだとウチ特有の違和感が生めないので、あえて長い物を付けて意外性を出してます」
この違和感は常に氏が意識しているものだ。完全にととのえられた車両よりも、何かひとつ突出した箇所があった方が目立ちやすい。すべては自身のマシンをより多くの人の目に留まるよう仕向けた政略だ。
仮に、音楽。演奏者が意識的に仕掛けていかないと、ドライブ感もスリルも生まれない。これと同じことが表現する人間には求められ、それを実践する作り手だけに、まっすぐに伸びた別世界への階段が用意されている。
HARLEY-DAVIDSON KH 1956 DETAIL WORK
HANDLE
水辺上がりのマーメイドの髪をイメージして製作。レバーにはスロッテッド加工を施しレーサーテイストを出す。
FRONT FORK
33.4φ純正フォークに、ヘッドライトはヘラ製フォグランプをセット。フレームに極限まで寄せてマウント。
GAS TANK
ピーナツタンクにリブを立てて加工。塗装は一旦別色で塗った物をカスタムショーの数日前に変更して再塗装。
REAR END
XLH純正フェンダーの中央をカットして扇形に広がっていくように製作。マフラーは数箇所のステーで支持。
HARD TAIL
KフレームにKR用ボルトオンハードテイルを実装。前後18インチホイールとの間にマフラーが通される。
MUFFLER
ショートマフラーでは収まりが良過ぎることから、敢えて突き出たトランペットで同店固有の違和感を演出した。
BUILDER’S VOICE
MOTOR CYCLE PANDEMIC
住所 | 千葉県旭市高生490-8 |
---|---|
電話 | 0479-71-1219 |
FAX | 0479-71-1219 |
SHOP | MOTOR CYCLE PANDEMICのショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
定休日 | 不定休 |