H-D SHOVELHEAD 1973
CUSTOM WORKS ZON
光の粒をまとう
オールアルミの金字塔
昨年の2022横浜ホットロッドカスタムショーで威光を放ったチャンピオンズマシンである。王将位を欲しいままにする『カスタムワークスゾン』が攻め立てたこちらは、オールアルミで構築された革新的な一台だ。
タンクやフェンダーといった外装はもとより、フレームまでが全てアルミで製作された無双のクリエイション。これまで、幾多の腕に覚えのあるカスタムビルダーが二の足を踏んできたこのオールアルミの領域で、辣腕(らつわん)を振るったマシンである。
そもそも、フレームをアルミで創るとなると一番の問題となるのが、成形時の熱入れで起こる強度低下だ。その時に生じてしまう『割れ』をどうやって回避するかが最大のポイントで、作り手の吉澤さんは部材の選択から突破口を開いていった。
「新幹線や航空機にも使われている7N01(ナナエヌゼロイチ)っていうアルミの部材があるんですけど、それを用いれば強度も稼げるし肉厚も一番ごついのがあるんでそれを使ってます。本当に色々調べながら、試行錯誤しながらですよね」
鋳物のアルミラグを手配することからスタートし、フレームワークに専心していく過程ではどうしてもよじれや開きが出てしまう。それらはトルクがかかるとチェーン側に引っ張られ、結果的にフレームのよじれが増幅することになる。そこで例えば、リアアクスル前方の、上下フレームを縦パイプでつなぐなどして補強。曰く、「トライ&エラーの集大成」が具象化される。
「フレームって一(いち)加工じゃないですから。パイプとパイプをつないで二曲げをしていくんですよね。一ヶ所90度に曲げたら今度は違う方向にもひねりを加えていかないと接合出来ない。それが大変ですよね」
フレームばかりに目が行きがちだが、25mm厚のアルミ板をコンターで切削したガーターフォークを始めとする外装の加工技術も総じて高い。「それらはいつもウチがやっていることですから」となんら飾るところがないが、その才腕は同業の作り手ほど感じるところがあるだろう。
「正直、NC(専用加工機)があれば何でも出来るけど、その機械の仕上がりとウチらが手で創る仕上がりを分けたいですよね。だからこれはアナログ感がウリだし、まだ何が完成かが分かってないからやり続けられるのかなとは思います」
これほどの実力と評価を得てもなお、ファイティングポーズを下げることはない。この現状に甘んじることない挑戦者の姿勢が、いつの時代も王者の条件である。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1973 DETAIL WORK
FRONT FORK
ガーターフォークは25mm厚のアルミ板をコンターで切削。その後フライスで成形して仕上げたオンリーワン。
GAS TANK
ハンドメイド特有の体温が通うタンク周り。インパクトの高い彫金は神戸シルバースミスフィンによるもの。
ENGINE
ツインマグ仕様のストローカーを組んだショベルモーター。将来的にボンネビルの塩平原での実走を念頭に製作。
MUFFLER
マフラーもアルミでワンオフ。キレのいいデザインが近未来的なマシンフォルムと見事なマッチングを見せる。
SEAT COWL
内部がオイルタンクになったシートカウル。そしてカウルを外した内部には精緻な構造でシートサスが収納。
FRAME LUG
リアアクスルやステム、ダウンチューブ下には鋳物のアルミラグを配備。アクスル前には上下にパイプを渡して補強。
BUILDER’S VOICE
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