H-D FLH 1976
VIDA MOTORCYCLE
セオリーを踏み越える
隣り合わせのフレーバー
どの球も受け止める鉄壁のセーフガードである。ある時はスピードクルーザーカスタムを手掛け、またある時はフルスクラッチのチョッパーで見る者を湧かせる。オーナーのニーズに対して自在に、そして確かな完成度を持ってリアクションする九州の最右翼的カスタムショップだ。
作り手の大久保さんが今回向き合ったのは、フリスコスタイル風のチョッパーである。そしてそこに、わずかながら’60年代の雰囲気も加味したと言う。定番ハンドルのスーパーバーではないプルバックバーなどが当時の残り香を感じさせるディテールだ。
「最初に4速フレームでフリスコっぽいイメージがあったので、リアフェンダーにフリスコフェンダーを使ってスポーツスタータンクという昔ながらのカテゴリーに入れたかった部分もありましたね」
また、基本お任せで信頼してくれたオーナーに対して、今までありそうでなかったスタイリングをやってみたかったこともあり、フリスコフェンダーにシッシーバーを立てるという意外なコーディネーションを施工。他に、『快適に乗れるショベルヘッド』という面にもウエイトが置かれた。
「自分の年代から上の方に提案していきたい分野でもあったので、オーナーさんと話してセル付きにしてます。あとはロングツーリングにも行けるようなコンセプトだったんで、快適に乗れてトラブルも少なくなるような仕上げにはしてます」
同店特有の味付けにも触れたい。ぱっと見のルックスこそ飾らないチョッパーだが、実は6インチオーバーのフォークスプリングにはサンダンス製トラックテックを採用。ハイパフォーマンス系カスタムで重用されるこのテクニカルパーツを、毛並みの違うチョッパーにしれっと持ち込んでくるあたり成熟している。
一方、外装のペイントは山口県の『420カスタムズ』が担当。趣味嗜好の意思疎通が出来た両者だからこそ阿吽(あうん)の呼吸でアイデアを燃焼させ、毎回想像を上回る出来栄えを持って大久保さんの手元に納品される。今回の逆転したフレイムスラインも特別指示したものではないことからもその関係性がうかがえよう。
言ってしまえば、外装の加工物は何とでも出来るキャリアが氏にはある。そして、これまでダイナやFXRのパフォーマンス系カスタムを通じて得た『気づき』を他のカスタムにも投下。そこには今回のテクニカルパーツに代表される、既存のセオリーを良しとしない、スタイルの垣根を超えて練られた理想がある。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1976 DETAIL WORK
HANDLE
フリスコスタイル定番のスーパーバーではなくFX純正風プルバックバーを装着。ライザーはカスタムテック製。
FRONT FORK
35φのフロントフォークは6インチオーバー。インナースプリングにサンダンス製トラックテックを挿入する。
GAS TANK
汎用のスポーツスタータンクを使いキャップ位置を中央からサイドに移設。塗装は『420カスタムズ』の仕事。
FOOT CONTROL
スーサイドクラッチにジョッキーシフトの組合わせ。ステップ周りは余計な手を加えずシンプルにワンオフ。
MUFFLER
マフラーはスタンダードなスラッシュカットを選択。オイルタンク下に勘所のセルスターターを配備する。
SISSY BAR
純正タイプのシッシーバーをセットし、中に純正オーナメントを付加。フェンダーストラットはリメイクされる。
BUILDER’S VOICE
VIDA MOTORCYCLE
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