H-D XL1200S 2001
LAMP CYCLE

誰にも似ない存在感を持つ
街を駆けるリジッドスポーツ

SRなどの国産車から、ハーレーやトライアンフといった輸入車に至るまで、幅広く手掛けている福岡の『ランプサイクル』。同店が昨年の2021横浜ホットロッドカスタムショーに出展していたマシンが、このリジッドスポーツだ。

「お客さんからのオーダーは、リジッドフレーム化することと、『ストリートに映えるスポーツにして欲しい』というものでした」と、作り手の松隈さんは話す。ドナーバイクはフルノーマルの1200Sで、フレームは純正フレーム改のリジッドだ。

「リジッドフレームの綺麗なラインがポイントになっていると思います。ホイールベースは純正より長めに取っていますが、視覚的に長すぎる印象を与えないようにリアホイールは18インチ化しています」

リジッドフレームのカスタムを手掛ける際は、バランスを取るために少し長めに造るというのが松隈さんのセオリー。これによって均整の取れたマシンになり、また外装の自由度も増すのだそうだ。

そうした特有の知見をもってまとめられた、フロントからリアに向けたストレートラインが美しいリジッドフレームは、鮮やかなブルーでペイントされている。深いブルーをベースに、少しの緑を加えたという個性的な『青』。塗装は外注にオーダーすることなく、ランプサイクル自社で行なったものだ。

また、タンク、シートカウル、オイルタンクという3点の外装はメッキ塗装されている。フレームの青と外装の鏡面が、互いの色を際立たせ合っているあたりが興味深い。そしてこのメッキ塗装もまた自社で行なった仕事だ。

外装に関しては、全体のバランス取りも苦心を重ねた点である。「タンクとシートカウルは、まずその佇まいがカッコよく、かつ、乗り手がまたがった時にもバランスよく。その両方をうまく出すように気を使いました。オーナーがまたがった時、そして飛ばそうとした時の姿がかっこいいかどうか。それを重要視してます」。そのため、オーナーには幾度も来店してもらい、ポジション合わせが行なわれた。

また、ショーコンディションなマシンでありながら、走りの面も妥協していない点に注目したい。例えばフロントエンド。ハーレーでは珍しい減衰調整機能を備えた1200S純正のカートリッジフォークをそのまま使用。さらにブレーキは前後ともにブレンボに換装され、堅実な制動力を確保。しっかり飛ばせて、しっかり停まれる仕様となっている。

ストリートを駆ける姿を、ぜひ見てみたいマシンである。

（写真・文／マツモトカズオ）

HANDLE

ライザーはフランダースのレプリカ。ハンドルはストックのポジションに近くなるものをチョイスしている。

GAS TANK

バナナタンクを切って詰めて、少しナロー化している。またフレームに深く被るようハイトンネル化も行なった。

OIL TANK

ワンオフのオイルタンクは、全体の雰囲気を邪魔しない、シンプルで主張を抑えたデザインを心掛けたパートだ。

CAM COVER

EMD製のナックルスタイル・カムカバーを採用。それに併せ、純正カバーも削ってチリ合わせを行なっている。

MUFFLER

マフラーはトランプサイクル製。リジッドにパフォーマンスパーツという相反したテイストを逆手にとった箇所。

SEAT COWL

「普通には走っていない、スリムなフォルムを出したかった」というシートカウル。シートもワンオフで製作。