H-D FLSTF 2003
BIKE GARAGE KOKORO
嫉妬の先に広がる
届かないクリスタル
ツインカムベースでここまでいくと、ぐうの音も出ない。ひと言断っておけば、フレームの加工は一切ない。基本骨格を触らずにまとめ上げたカスタムとしては第一級だろう。それは、ツインカム中心の同業プロフェッショナルの方がより実感が強いはずだ。横から見たときのサイドビュー、そのマシンバランスはもはや手に負えない。
「コントラストカットのホイールなどがあったので、ちょっと言い方悪いかもしれないですけどケバくならないようには心掛けてます。あとはウチらしさが出るようにですよね」
ガスタンクにしても大き過ぎず長過ぎないように製作したと言う。確かにその収まりの良さには惚れ惚れするものがある。いったいこれまでどれほど世の作り手がこのバランスを出せずに泣いてきたことか。そこには、ビルダー内田さんの『感性』とだけでは片付けられない、際どい艶気(つやけ)がしとついている。
「ツインカムの車格になるとどうしてもメインチューブが長くなる。まあそういう所を合わせたり、ハンドルのバランスを取ったりですね。あとはリアフェンダーに敢えてステーを付けてそこを見せ場にしたりとか」
ガスタンクからリアフェンダーへと続く流れるようなラインは、叩き上げの現場で培ってきた絶対音感あってのもの。そしてリアエンドに関しても一家言あり、『カスタムはナンバーが付いて初めて完成形になるもの』だと氏は語る。そのためリアフェンダーの長さが直にその影響を受け、ナンバーが無い状態だと短すぎるが、付けばジャストなバランスを生成。この辺はショーバイクといえどもバイクは街中を走ってこそ、という内田さんが何より重心を置いてきた信条が大前提にある。
もう少しリアフェンダーを掘り下げたい。フェンダーエッジに足した立体加工でデザイン性を高めつつ、幅を若干太めに成形。これは150ワイドの一般的なタイヤサイズをワイドに見せる視覚的効果を狙ったもので、そのサジ加減はやはり針穴を通すほどのギリギリのせめぎ合いで幅調整をしている。
他にも、1.5とも1.75インチともつかない目分量で下げていったフロントのローダウン長や、シンプルな中にも手間を惜しまず仕上げたマフラー、そしてミッドコントロールなど、どのパートも待ったなしの熱病が交錯。
ナックルヘッドからツインカムまで、どの車両を触らせても技芸が光っている。常に真剣片手に勝負を圧してきた氏は、ごく控えめに表現して、なかなか得難い作り手だ。
HARLEY-DAVIDSON FLSTF 2003 DETAIL WORK
FRONT FORK
トリプルツリーは約5度レイク。41φフォークを加工し、車格に合わせて目分量で1.75インチほどローダウン。
FRONT WHEEL
ホイールは16から21へインチアップ。PM製コントラストカットを選択し、フェンダー形状も吟味した上で配置。
GAS TANK
長さのあるメインチューブとの均衡を図って製作。塗装はオーナーに合わせてピンラインでシックに仕上げる。
SEAT
車格のあるツインカムに見事な合致を見せるBGKのプレート入りソロシート。宮城県ジミードープが担当。
MUFFLER
マフラーはバイクの洗練度を増すターンアウトタイプ。軌道途中で太さを換えるなど惜しげなく技量を投入。
REAR END
ありがちなステーを排除するのではなく逆に魅せる場所として製作。各部の作り物の美しさが同店の独自色。
BUILDER’S VOICE
BIKE GARAGE KOKORO
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