H-D SHOVELHEAD
STOOP MOTORCYCLES
やりたくない
桃色スキャンダル
汁っ気たっぷりに、バンバンに桃色の風が吹いたショップである。鼻筋の通った端整なチョッパーに、匂い立つようなフェロモンが合わさったプロポーションにやられたが最後。気付けば両腕を後ろで縛られたまま身動きが取れない。
下手なネオンサインよりもコケティッシュな磁力を帯びる『ストゥープ』の、4速フレームを使ったショベルヘッド。早速、店主のモーリーこと生森(いけもり)さんにあれこれ聞けば、やはり返ってくるその答えのいくつかは使用に耐えないウィットに富み過ぎたものである。なので、その辺を割愛しつつもふわりと生地をこねていきたい。
「別にこれがウチですとかじゃなくて、わりかし4速でやったかなみたいな。内容的にね。前の形はメッキタンクが付いた未来形のやつだったからそれをチョッパーにして、4速で小さく作ったの」
その言葉だけを拾うと淡泊だが、その実、現場では既に氏の人間力が発動中である。聞き手を引き込む開演のブザーが鳴り響き、なんら恰好付けることのない自然体のトークがスタート。話の中身が『本音』と『素』なだけに、耳あたりが良い。
「えっ? 数あるカスタムの引き出しの内のひとつって? いやそんな全然強調しなくていいよ。推しだぜみたいのじゃないし、そもそも時間もかかるしそんな推さないから。逆に今はちょっとこういうのやりたくないかな(笑)」
4速フレームを使ったフルスクラッチ。同業プロフェッショナルにもファンの多い氏のチョッパーは、定規や分度器を使って計算した造形とは程遠い、真っ白なキャンバスを自由に描いたフリーハンドの妙味で構築される。それは感性のおもむくままに、気持ちよく飛行を続け、丁度よさげな滑走路を近くに見付けて風任せで着地させたようなものだ。
前後21/16インチホイールにスタンダードなFXフォークを装着。前部のナロータンクから後部リアフェンダーにかけてのスキニーなラインは同店のマグナムドライ。またショックレスのリア周りという離れ業(わざ)も動員することで、難度を高めたディテイルでメイクされた。
「お任せだった。4速で小さく、ああしてこうしてみたいな。ハンドルもZAKIさん(オーナー)だからZバーみたいなそんなノリだったかな。色は最初納得してくれなかったけど、最終的にグラデーションかけて良いんじゃないのって」
作り物とペイントの桃色のスキャンダルは盛大に破裂して、今宵も関係者全員を空高く吹き飛ばしてしまう。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルにはZバーを選択。アールを基調とした全体のラインに、エッジの立った造形がワンポイントに利く。
FRONT FORK
フォークはFX用の35φフォークをセット。ヘッドライトは丸型では面白くないことからトライアングル型を。
GAS TANK
小さ過ぎず絶妙な量感をたたえたワンオフのガスタンク。塗装のグラフィックまで全てモーリーさんが担当。
OIL TANK
オイルタンクにはゴールドのオーナメントが埋め込まれる。まず型を取ってそれに合わせて掘り込んでセット。
MUFFLER
ショックレスのリア周り。キャリパーサポートはオリジナルで、スタイリッシュなマフラーには同店の名が入る。
SISSY BAR
ぷりっと肉厚シートと均衡するシッシーバー。高さや角の立ったデザインなどが全体のフォルムと滑らかに調和。
STOOP MOTORCYCLES
住所 | 埼玉県戸田市美女木3-20-5 |
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電話 | 048-485-1340 |
FAX | 048-485-1340 |
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