
HARLEY-DAVIDSON FX 1981
INDIGO CUSTOM CYCLE
新たな切り口で魅せる
追憶のグースネック
ハーレー/国産車問わず、時にチョッパー、時にカフェレーサー、また時にはクラブバイクなど、多様なカスタムスタイルを提案し続けている福岡のインディゴカスタムサイクル。今回紹介する一台は、同店が初めて手掛けたグースネックのショベルヘッドチョッパーだ。
グースネック。名が示す通り、ガチョウの首を連想させる曲線を描いたダウンチューブと、ネックが前に突き出したそれは、地を這うような低いスタイルを演出する。今から20年ほど前、愛知県のゼロエンジニアリングがリリースした『ゼロスタイル』で多くのフリークたちが魅了されたものだ。

インディゴカスタムサイクルの長谷川さんもその一人だ。「かっこよかったですよね。ゼロのバイク。やっぱり世代的に当時は影響を受けましたね」。自らが受けた影響を率直に話してくれた長谷川さん。しかしいざこのマシンのディテイルに目をやれば、単に歴史の焼き増しではなく、インディゴのパーソナリティを節々に感じさせてくれる。

まずはそのグラマラスなフォルムに注目したい。リアのタイヤ幅は180。ショートなリアフェンダーも相まって、迫力あるリアビューとなっている。このファットなタイヤを履くため、リア周りのフレームは緩やかなラインを描いて拡げられている。それでいてフロントセクションはナローなグースネック。そのつじつまを合わせるべく、『くびれ』を帯びた均整の取れたスタイリングに最も注力したという。

また、各部のパーツチョイスも見ものだ。グースネックチョッパーという古(いにしえ)のスタイルながら、ホイールやブレーキなどに近代的なパフォーマンスパーツを随所におごっている。しかし、そこに違和感を感じさせない裁量がインディゴの心憎いところだ。
長谷川さんは語る。「僕自身が古いパーツにこだわりがないんです。それよりも安心感のある新しいパーツをお客さんには勧めています」。

安心感、という点で言えば、ネック周りにもその配慮が見て取れる。グースネック部にはさりげなく補強が施され、またネック角も長谷川さん曰く、「常識のレベル」で規整値のトレールを確保するなど、ワイルドなスタイリングを保ちつつもコントローラブルなバイクであるよう心掛けられている。

かつて一世を風靡したスタイルへのリスペクトを感じさせつつ、新たなアプローチで仕上げられた一台。頭に残る、美しいマシンだった。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FX 1981 DETAIL WORK

HANDLE
低いポジションを確保すべくハンドルはトップティーに直付け。車体色と合わせ、グリップ等はゴールドを選択。

FRONT WHEEL
W&W製74スプリンガーに、21インチホイールはリアと同じくRSD製の”DEL MAR”。ブレーキはPM製。

GAS TANK
流麗なストレッチタンクはワンオフ。リーフが眩しいペイントはFFFが手がけ、ピンストライプはMr.Gの仕事。

OPEN PRIMARY
1.5インチのBDL製オープンプライマリー。クラッチはスーサイド。各所の真鍮や銅管が挿し色になっている。

MUFFLER
エンジンはストックをオーバーホール、カムのみJカムに換装。キャブはSUをチョイス。マフラーはワンオフ。

REAR WHEEL
ショベル用の販売がなくハブを特注したというRSDのホイール。スプロケットブレーキはカスタムテック製。
BUILDER’S VOICE
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