H-D KNUCKLEHEAD
BIKE GARAGE KOKORO
令和に額装する
万雷のネオクラシック
国内カスタムシーンの上位に名を連ねたビルダーの本気である。『ネオクラシック』がキーワードになるマシンを前に、正直何から目を向けて良いのか悩むほどに見せ場のクオリティの高さに目がくらむ。グイグイ迫ってくる鮮麗な風格は待ったなしだ。
「目に焼きつくような物を作りたかったのと、ショーバイクでもその時だけ輝いて終わりではなくずーっと長く残っていくような物を作りたかった。カタチ的にはそんなに新しくなく、『ネオクラシック』ということを考えながら作ってます」
そのイメージを受けて、ホイールはスポークではなく敢えてのビレット。しかも極力シンプルとしたファイブスターのデザインである。また、作り物だけでなく『走り』でも本領を発揮する同店なだけにキャブもツイン化。もちろんマニホールドもしっかり二つに割った具眼のセットアップだ。
「ポイントはフォークですね。スプリングではなくラバー。でも加工が大変というよりはアイデアです。言ったら支点力点作用点の所を上手く考えて作るぐらいですから。剛性はかなりありますよ。74スプリンガーの剛性なんて目じゃないほどこっちの方があります」
デザインだけではない機能面のアップデイトにビルダー内田さんの美点がある。昔のミニからヒントを得たというセクションは他の追従を許さない高みにまで達している。そしてそのハイレベルな技は、ボルトオンハードテイルにおいても顕著だ。
「取り外し可能です。今後オーナーさんがもしサスを付けたくなった時でも、違うユニットを付ければ出来るように。まあ長く楽しめるかなっていう(笑)。あとは見せ場のひとつにもなりますよね。ボルトオンで一回区切ってますから」
正にその通りで、ボルトオンではなくココが溶接だとフレーム全体に溶け込んでしまいメリハリはなくなる。が、一旦仕切ることでデザイン性とインパクトはすみやかに向上。もちろんそれには手数のかかる作業を受け入れることになるが、そこから得られる果実はうんと甘い。
「いつも言うんですけど忘れちゃいけないのが全体のバランス。これだけはもう絶対。それが崩れてると手が込もうが何しようがぜーったいダメですから(笑)」
掲げたネオクラシックの中に古き良きレーサーの影がチラつく、純度百のビッグゲーム。カスタムポイントは数あれど、いつだって内田さんが重心を置くところは変わらない。
HARLEY-DAVIDSON KNUCKLEHEAD DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークのリアレッグ一番下にラバー機能を挿入。フロントレッグ下も片持ちでなくコの字型で剛性を高める。
FRONT WHEEL
前後共に19インチのワンオフビレットホイールを装着。フォークのリアレッグ下にラバー機能がインストール。
GAS TANK
往年のレーサーを思わすガスタンクはアルミ叩き出しで成形。ピンラインは信頼を寄せるスギサックに一任。
HANDSHIFT
精緻な作りのシフトステーやリンケージもワンオフ。シフトグリップ自体も強度と耐久性のある木材から製作。
SEAT
シートの造形もデザイン性が高い。ふっくらした厚みを出すため無垢ではなく二重構造の中空となっている。
HARD TAIL
オーナーの将来的自由度の確保ばかりか見せ場にもなるボルトオンハードテイル。中央にオイルタンクを設置。
BUILDER’S VOICE
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