H-D XL1200 2003
SHALLOW MOTORCYCLE SHOP
この先にかすむ
街乗りのハーモニー
ショップから撮影場所まで片道10km弱。店主の浅井さんが乗るこのスポーツスターを後方からしばらく眺めていたのだけど、いかにも名古屋の街によく馴染んだバイクだった。主張し過ぎることなく、かと言って目立たないなんてこともない、キリッと存在感のあるチョッパー。郊外の幹線道路よりは、街中で輝きを増すタイプのスイングダディ。
スクランブラーからチョッパースタイルまで、シャローモーターサイクルの守備範囲は名うてのキーパーを思わすしなやかさがある。無論、車種に関しても同様で、国産車も海外車も同じフライパンの上で華麗な手さばきの餌食と化してしまう。
そして今回の餌食は、2003年式スポーツスター1200である。ほど良くフロントフォークが伸びたシェイプリーなフォルム。内側に絞り込んだハンドルと幅の狭いナロータンク、アクセントになるハイバックシートそれぞれのバランスを取ることで、野卑になりがちなセットアップをそつなく一元化。誤差の少ない安定の仕事で決着している。
「街乗りがメインの用途なんですけど、これは乗り難くですね(笑)。オーナーの希望です。まあオーナーの好みを聞いていくと結果的に乗り難くなったって感じですけど。ハンドルが狭くてリジッドバーですから」
確かに取り回しはハード。降りた状態でバイクの方向転換をしようとうかつにハンドルを切ろうものなら、そのまま手首が『クイッ』とキマってしまう恐れすらある。それに加えてリジッドバーなのだから、なるほど、決して乗りやすい代物ではないだろう。
次に外装に目をやると、ワンオフを多用することなく、既製品を巧みに使いこなしているのが分かる。2インチロングのフロントフォークやタンク、リアフェンダー、マフラーなどがそれで、ちょっとした手引きで男前に仕立てる腕は変わらず健在だ。
しかし油断ならないのは、その手の解放したテクニックだけではない点である。本来外注に依頼すべきペイントやシート製作までを自社で施行。浅井さんはカスタムにまつわるそのほとんどをトータルでプロデュースしている。
「表皮はシート屋さんですけどFRPでシートベースを作ってスポンジを盛るところまでやってます。ペイントのフレイムスは黄色とオレンジと濃いオレンジで塗ってます」
『どんな姿になるかまず自分の目で見てみたい』。ひと通りの工程に体温を通わすのは、そんな内に秘めた礼儀が原動力である。
HARLEY-DAVIDSON XL1200 2003 DETAIL WORK
HANDLE
内側に深く絞り込んだナローなハンドルはワンオフで製作。ヘッドライトにはユニティ製4.5インチをセット。
FRONT FORK
フォークは2インチロングとされた。アウターチューブをブラックアウトし、そこにフォークブーツを合わせる。
GAS TANK
ネオファクトリー製ナロースポーツスタータンクを採用。黒地に3色を使ったフレイムスラインをペイント。
SEAT
旅情を掻き立てるハイバックシートは表皮以外自社で施行。FRPでシートベースを製作し、スポンジを成形。
REAR END
ショックにはリジッドバーを装着。リアフェンダーはアイアンスポーツ用フロントフェンダーを流用加工する。
MUFFLER
マフラーにはネオファクトリー製を選択。全体のカラーコンセプトに合わせてカムカバーもブラックアウト。
BUILDER’S VOICE
SHALLOW MOTORCYCLE SHOP
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