H-D FXDC 2005
KATSU MOTORWORKS
したたり落ちる
スーサイドブロンド
梅雨明けしたばかりの7月末日。一気に気温が高まった、猛暑日の最中に『カツモーターワークス』へと足を運んだ。
工場にエアコンはなく、立っているだけでもTシャツが湿ってしまうハードな環境のなか、勝本さんは黙々と作業にいそしんでいた。したたり落ちる汗はそのままに、もはや拭きとってもキリがないそれは、さながら顔の一部と化してしまっている。
氏は熱さで頬をほてらせたまま、ゆっくりとこの2005年式FXDCに目をやった。決して多くを語る人物ではないだけに、一言一句、聞き逃すことは出来ない。
聞けば、タンクありきのチョッパーだそうだ。オーナーも形状に満足していると言うそれは、上と横、裏側の全6ピースの鉄板を使い製作した部位である。まずはホウガン用紙に展開図を描き、そのパートごとにハサミで切り出して鉄板にトレース。それをカットしてつなぎ合わせたタンクは、容量10リットル以上という必須条件もあったそうだ。
その完成したタンクは、不格好で知られるダイナモデルの角フレームが隠れるように、深く被せて装着。タンク下をハイトンネル化することで、気になるメインパイプの不細工箇所をすっぽりと覆い込んで処理している。
次に特徴的なマフラーは、作り手とオーナーの意見のちょうど真ん中を取って製作したものだと言う。「僕はもっと長い方が好みだったんだけど、オーナーは短いのが良かったんです。それで、じゃあ間を取りましょうよって(笑)。僕的に、間じゃちょっとやる気起きないってごねてみたんですけどね(笑)」。単に店側と客ではない、ふたりの距離感が分かる、なんともユニークなエピソードだ。
外装は他に、リアの汎用ファットボブフェンダーをショートカットして設置。純正の電装ボックス脇にはスイッチ系が集約される。そして、この辺は造作もない氏にとっての一番の難関は、スーサイドシフト化によるクラッチマスターの設置だった。
オープンプライマリーの中に配したマスターは、シフトシャフトとクラッチハブの間にギリギリ収まる形で設置。これ以上ないクリアランスで決着させた渾身のパートである。「最初あったシャフトを使ってスーサイドにするには、もうここしかマスターの置き場が無かったんですよ」、と理由は明快である。
かくしてビートを刻む、ツインカムベースのスーサイドブロンド。多くを語らない労働者の栄光は、したたり落ちる汗にこそ雄弁だ。
HARLEY-DAVIDSON FXDC 2005 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは純正を使い、程良くフロントの伸びた4インチオーバーとする。アウターチューブはブラックアウト。
GAS TANK
タンクありきでカスタムはスタート。6ピースの鉄板からなるタンクの塗装はガンズカスタムペイントが担当。
OPEN PRIMARY
元々付いていたシフトシャフトを活かしてスーサイド化。前後ギリギリのクリアランスでマスターが収納。
HAND SHIFT
シフトステーをワンメイク。モジュールの入った電装ボックス後方にウインカーやライト等のスイッチを集約。
SEAT
後端が上がったソロシートでホールド性を確保。フェンダーは汎用ファットボブタイプをショートカット。
MUFFLER
アイキャッチの一つとなるマフラーはスチールで製作。オーナーと話し合い二人の意見の中間を取ったデザイン。
BUILDER’S VOICE
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