H-D FLSTC 1999
45 DEGREE/Rignise Hiroshima
その心臓は従順なる獣
痛快な走りを誇るヘリテイジ
なんとも美しく、懐かしいマシンである。1999年に発売されたヘリテイジソフテイルクラシックにのみ採用されていた、艶やかなオレンジラインが眩しいモデルだ。
こちらをデモ車として所有するのは広島の45ディグリー。同店はEVOを中心に、厳選した中古車を取り扱うリグニス広島としての一面も持ち、このヘリテイジもリグニスならではの好コンディションを誇っている。
しかし、この一台は一介の美麗中古車に非ず。抱えている心臓部にご注目いただきたい。S&Sのロゴが刻まれた、エンジンの排気量は111キュービックインチ(1,820cc)である。EVO純正エンジンが1,340ccだから、いかにこれが強烈なモーターかがお分かり頂けることだろう。
45ディグリー代表の保浦氏にこのマシンを製作した経緯を聞いてみた。
「S&Sの担当者が、『このエンジンは排気量だけでは見ないでくれ』って。スクエアストローク(ボアとストロークが等しい)でバランスの良いエンジンなんだ、って。それを聞いてちょっと面白そうだなと。ぜひともエボに載せてみたいと思ったんです」
かくして、美しきヘリテイジと111cu.in.モーターのマリアージュは成し遂げられた。外装は、21インチの大口径ホイールを履き、各部にメッキパーツを奢った以外はストック然としたビジュアルを保持。が、その見た目とは裏腹に、一度でも試乗した者は皆感嘆の声をあげるそうだ。そんな折、氏から「乗ってみませんか?」との誘いを受け、一般道でのテストライドへ出ることに。
まずスタート時。スロットルワークに対しては俊敏なレスポンスで応答。低中速はツインカムよりトルクフルで、ショベルよりも柔和なEVOらしいフィーリングを残している。
しかしスパッとスロットルを開くと、111 cu.in.の真価が発揮した淀みのない底なしの加速感! 未体験の走りに思わず笑いが漏れる。また、ワインディングでもこの瞬発力が痛快な走りを演出してくれた。もう、ただただ、楽しいのである。保浦氏の言う、『パワーがあるゆえの扱いやすさ』、そして底抜けの楽しさに、まるで豪気な獣を手懐ける猛獣使いになったような快感を得ることができた。
「載せ換えで生まれ変わる別世界があることを知って欲しかった。高年式しか乗ったことのないような人や、2台目3台目を考えている人にぜひ乗ってみて違いを感じて欲しいですね」
このマシンは現在、45ディグリーの試乗車として扱っている。タイミングが合えば、是非スクエアストロークの世界を体感して欲しい。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FLSTC 1999 DETAIL WORK
FRONT WHEEL
16インチ用の純正フェンダーに絶妙に収まる21インチRide Wright Wheel製のホイールがチョロっぽさを演出。
COOLER
強力なパワーユニットに対し、オイルクーラーとJIMSの冷却ファンで対応。温度センサーを備え自動で作動。
GAS TANK
塗装はリフレッシュされ、当時の美しい輝きが蘇る。オレンジと、各所に奢られたメッキが青空に映える。
CARBURETOR
V111に標準装備されるEキャブ。もちろんシャシダイを使ったジェッティングなどの調整を済ませている。
ENGINE
その名も「S&S V111」。決してただの『怪物』ではない。最高に快適で楽しい走りを約束するエンジンである。
REAR END
レザーバッグは外され、Ride Wright WheelのホイールとAVONのホワイトウォールがその姿をさりげに主張。
BUILDER’S VOICE
45 DEGREE/Rignise Hiroshima
住所 | 広島市安佐北区上深川町380-1 |
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電話 | 082-844-7845 |
FAX | 082-844-7805 |
SHOP | 45 DEGREEのショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
定休日 | 木曜日 |