HARLEY-DAVIDSON KHK 1955
MANXMAN GARAGE MOTOR DIVISION
表裏に行き渡る
緻密なボディプレス
トップスピード180kmオーバーで走りたい、をテーマに掲げた店主水品さんの愛車である。東海地方きっての腕利きである氏が何よりもウエイトを置いたのはエンジンで、高速型に振りつつも低速時のパワーダウンを補うチューンでプロジェクトはスタートした。
まず、エンジンやミッション、ホイール全てのベアリングをスペックの高い国産製に交換。そしてピストンは、知る人ぞ知るアメリカ産の鍛造ピストンを使用。剛性の高さと、ピストンスカートにオイル溜まりが出来るようディンプル加工が施されたスぺシャルである。
この焼き付き対策がなされたピストン以外も、バルブ周りのスプリングを強化。全長を伸ばし、線径は1.5から2.0mmにアップされた。また腰下も抜かりなく、かつての師であるリトルウイング大平さんにオーバーホールを依頼し、ミッションは自分の手でプリペア。ミッションスプロケットは当初の予定通りに、市販されてる中で一番大きい24丁が装着される。
一方、最善を尽くした内燃機の他に、外装周りも手抜かりは無い。フロントフォークは純正を使ったモディファイだが、外スプリングの上下にワンオフのカラーを噛ませ、インナーにワンオフスプリングを挿入して2インチローダウン。ライトはガイド製のヴィンテージながら、H4バルブを仕込んで抜群の照射性を確保している。
ブレーキとクラッチレバーのタッチの良さも見過ごせないポイントだ。フロントブレーキは、アウターケーブルにEVOスポーツ用を活用。これにより純正と比べてインナーワイヤーとの隙間が広く出来るため、その分グリスを多めに注入。また、ブレーキドラムにFL用のリターンスプリングを使うことでパチンッ!と機敏に戻るようにしている。
クラッチは、アウターに純正を使うもののインナーは強化ワイヤーである。Kモデルは元々クラッチワークが軽いというのもあるが、根本のアーム交換やバリ取りなど出来うる作業をすべて行い、ここでもベストが尽くされた。
タンクやフェンダーなどの作り物は古巣のホットドックで錬磨してきただけにお手のもの。なので、見せ場はクロモリパイプで成形したハードテイルになるだろう。精度の出たフォームもそうだが、ジュラルミン板で作ったアクスルプレートがメカニカルな雰囲気を醸してなんとも味わい深い。そしてこうした内燃機から金属加工までの一連の作業を追うほどに、『腕利き』の形容がふわりと浮き立ってくる。
HARLEY-DAVIDSON KHK 1955 DETAIL WORK
HANDLE
交流の深い千葉県エーシックスのオリジナルバーをステンコート。ライザーはデッドストックを鋳物風に加工。
FRONT FORK
純正フォークのインナーにワンオフスプリングを挿入して2インチダウン。外のスプリングはチェリーズ製。
GAS TANK
アルミ板から製作したタンクは容量約10.7Lを確保。フレームに収まるギリギリまでストレッチさせたと言う。
ENGINE
フルチューンした900ccモーター。内部は040オーバーサイズのピストンに始まりフルコースで料理された。
REAR FENDER
FORDのスペアタイヤカバーを切ったフェンダー。ライトは一番最初に手作りで仕上げたオリジナルスパルト。
HARD TAIL
クロモリパイプでワンメイクしたハードテイル。アクスルプレートは往年のダートトラックをイメージして製作。
BUILDER’S VOICE
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