HARLEY-DAVIDSON K 1953
CHIP MOTO-CYCLE
ブレーキで軌道修正した
KRルックのオールドレーサー
ことカスタムに関して、徹底した作り込みで知られるチップモーターサイクルにしては、おとなしい一台である。オーセンティックなダートトラックスタイル。が、実は、フルスクラッチのカスタムイメージが先行する同店だが、このシルエットこそが本流だったりする。
代表の吉田さんは、ダートトラックの最高位であるエキスパートホルダーだ。カスタム屋の顔を持つ傍ら、真正のレーサーでもあった氏がこの手のスタイルを触れば、いやがおうにもリアルな空気感がバンバンに漂う。
「アメリカにこのオーナーと一緒に、’54年以降のKモデルを探しに行ったんですけどなかなか無くて、KRのブレーキが付いてるのに惹かれて’53年のを買っちゃった感じですね」
本当は’54年以降に採用された、信頼出来るカセットミッションタイプが欲しかったが、KRブレーキのインパクトにヤラれてしまったそうだ。
「特別なことは何もしてないですね。普通に、KRルックのオールドレーサー。まあ千里浜のサンドフラッツレースに出るからそれ仕様に変えてるけど、その後は全部公道用に戻しますし」
エンジンはストックの750ccではなく、ストローカーの900cc。これは購入当初からのセットアップだったが、かなりの不具合があったためにリペアを施し、リンカートのM53キャブと合わせてチューニングしている。
そして、クラッチ周りは後期のアイアンスポーツ用が使われていて、ギア比もロングに振った仕様。「飛ばすには良いかな」、とそのままそれを活かすが、結局フロントとリアのスプロケットに問題があって修理したものの、未だ手直しする箇所は残っていると言う。
「いにしえのチューナーだかが組んだらしいんですけど、蓋を開ければその息子が組んだみたいで、やるところは未だいろいろありますね。まあ込み入ったことはしてないんで、本にある教科書通りのレーサーですよ」
外装に目を移そう。ダートトラックバーにノーマルのスポーツタンク、シートは’67年製XLRの純正で、ピリオンシートはKRのレース用レプリカ。オイルタンクは上面を加工して、マフラーにKRタイプのドラッグパイプを装着。エアクリーナーカバーには’53年製AMAのナンバートッパーでアクセントを付けている。
駆け足で見てみたが、確かに目立ったワンオフ物はほぼ無い。が、なんてことないパーツチョイスに現れた目利きの才と、ダートトラックレーサーとしてのバックボーンが、アーシーでリアルな空気感を醸し出す。
HARLEY-DAVIDSON K 1953 DETAIL WORK
HANDLE
店にあったダートトラックバーを取り付け、メーターにスミス製をセット。グリップカラーはタンクと統一。
FRONT FORK
フォークは純正を用い、ヘッドライトにデューレイ製のトラクター用を装着。中はハロゲンタイプに変更される。
FRONT BRAKE
購入しようとしていた年式自体を変更させるほどのインパクトだったKR用ブレーキ。この造形にヤラれたそうだ。
ENGINE
エンジンはストローカーの900ccとなる。カバーには’53年製AMAのナンバートッパーを語呂合わせでセット。
MUFFLER
往年のレーサースタイルをモチーフに、KRタイプのドラッグパイプを選択。文句無しのスタイルである。
REAR BRAKE
レースマインドを増幅させるスロッテッド加工が施される。ブレーキは前期XRに付くドラムタイプと推測。
BUILDER’S VOICE
CHIP MOTO-CYCLE
住所 | 茨城県水戸市木葉下町251-33 |
---|---|
電話 | 029-251-8196 |
FAX | 029-251-8196 |
SHOP | CHIP MOTO-CYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 20:00 ~ 24:00 |
定休日 | 水曜日 |