HARLEY-DAVIDSON FXST 1997
KID CUSTOM FACTORY
ひと振りに込めた
虹のような世界
店を構え、カスタムショーに向けて初めて製作したフルカスタムが、この’97年式FXSTだ。今から7年前に手掛けた一台は、代表の城戸さんが好むユーロスタイルにまとめられ、タンクからリアフェンダーにかけての流れるようなラインがポイントになる。
当時の福岡カスタムカーショーとF.T.W.showでデビューを飾り、今回は、その時に予算の問題でどうしても手が回らなかった箇所をモディファイして、より完成度を上げたものだ。
「あの時は予算が無い中でも、僕がやりたいからって製作させてもらってたところがあった。だからホイールは純正で、塗装も自家塗装だったりしたんで、今回はその辺をバシッと仕上げた感じですね。造形的にはリアフェンダーを短くしたぐらいで、あまり変わってないと思います」
前後ホイールにハイエンドなPM製コントラストカットを選び、塗装は同店が信頼を寄せる福岡スリーエフによるフルスチームだ。グロスとマットブラック、シルバーを使った唐草模様のペイントワークは、エンブレム部分の3D塗装も相まって、マシンに深みと奥ゆかしさをプラス。欧州スタイルに日本古来のワビサビがほど良く効いたエクステリアである。
さて、今回のリメイク箇所だけでなく、キッドカスタムファクトリーの本流である金属加工に視点を移そう。先の、タンクからリアフェンダーにかけて一体成形となったシェイプは、当時ひたすらハンマーで叩いて製作したものだと言う。本来はイングリッシュホイールなどの加工用機械を使えばもっと楽に作れるが、「昔の人はみんなハンマーひとつでやっていたはずなんで」、といぶし銀な返答である。
更に、タンクとリアフェンダーをつなぐシートレールである。実はこの箇所はカバーではなく、前もって用意しておいた成形済みの鉄板をフレームに溶接したものだ。なので、塗装前に全体のフォルムを整えるパテ盛りは極わずかで、あとはほぼ手間をかけたスチールモールディングで構成。そしてこの、ベアメタル(無塗装)の状態でも恥ずかしくないというのが、城戸さんのプライドだ。
「当時は鈑金をまだ自分の中で模索しているところだったので必死でした。とにかく全部鉄板を成形して作りたかったし、塗装してなくても完璧に見えるような状態にしたかった」
ハンマーひとつで創り上げたマシンである。無我夢中で挑んだかつてのデビュー作には、氏にとって、大切な何かがぎゅっと詰まっている。
HARLEY-DAVIDSON FXST 1997 DETAIL WORK
HANDLE
エッジの立った部分にもう一枚パネルを被せて立体的デザインに。独特の質感は黒のリンクルパウダーコート。
FRONT WHEEL
今回リメイクを果たしたホイールは純正からPM製コントラストカットにチェンジ。ローターも同デザインに。
GAS TANK
駆け出しの頃にハンマーひとつで仕上げたガスタンク。唐草モチーフのペイントは福岡のスリーエフが担当。
MUFFLER
当時の意気込みが伝わってくるかの趣向を凝らした造形。エンドにアルミ削り出しのキャップを装着する。
REAR END
シートレールから違和感なくつながるリアフェンダー。すべて鉄板で成形した部位。シートは福岡のスタイル作。
REAR WHEEL
リアも同じくPM製コントラストカット。スイングアーム内にジャストで収まるバッグはスタンダードレザー製。
BUILDER’S VOICE
KID CUSTOM FACTORY
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