HARLEY-DAVIDSON XL1200S 1997
HOLE OF THE WALL MOTORCYCLES
いい歳こいた大人の
トレイシースポーツ
当日は、2017年度の台風3号が九州から横断してきたとあって、なかなかハードなコンディションだった。1分も外にいればTシャツがピタリと肌に吸い付く大雨のなか、とりあえずどこか撮影できる場所を探そうと、ホールオブザウォールのスタッフがハンドルを握るピックアップに続いて動き出す。
エスコートしてくれたのは、高速道路か何かの高架下だった。ナイスチョイス! 雨に濡れず、ばっちりいけそうなその場所に決めるや、彼は機敏にバイクを降ろし出した。その動きに無駄はなく、もちろん、無駄口もない。
今回のカスタムは、神戸三宮の洋服屋、MASH UPからの紹介だと言う。聞けば、’97年式XL1200Sがベースのこの車両のオーナーはまだハタチ。今どき珍しい若手のドリーマーとあって、同店は全力でサポートに当たった。
注文を受けたのが今年の3月ということで、自然と4か月後のニューオーダーチョッパーショーを視野にカスタムは進行。エイティーズの野暮ったいレーサーを意識して作業は進められてゆく。
「大変だったのはアルミの外装だと思う。元々トレイシーボディが昔からすごい好きやったんで、そのイメージでタンクとリア一体のボディを作って。もうベースはまったく無くて、アルミの一枚板から全部叩き出して作りましたね」
マフラーも隅に置けない。汎用のパイプを細かく切ってつなぎ、溶接面をサンダーで綺麗に均して仕上げた一品だが、ポイントは、車体に限りなく寄せた造形にある。ハーレーの名車、KRTTをソースにしたシェイプは、レーサーの雰囲気を増長するドリルドしたクランプに至るまでが本物志向で固められた。
ハンドルは同店オリジナルのミドルタイプを用い、スクエア型のヘッドライトはドイツのHELLA製でフロントマスクに尖った印象をプラス。また、リアショックはノーマルだと味気ないことから、ストリートとレーサーの双方を巧く表現出来るオーリンズ製をセットした。
「オーナーは感動してくれてました(笑)。本当に作って良かったなって思いましたね。これから車検通してキャブ調整して納車ですね」
いい歳こいた大人が、ハタチの子と一緒に見た夢。それは、照れくさいほど手の届く場所にある。
HARLEY-DAVIDSON XL1200S 1997 DETAIL WORK
HANDLE
3種あるホールオブザウォールオリジナルのミドルバー。ライザーはアイアンショベルに使われていた物を流用。
FRONT FORK
フォークはXL1200S純正を使う。表情を引き締めるスクエア型ヘッドライトはヴィンテージのHELLA製。
GAS TANK
トレイシーボディをイメージソースにしたワンオフのアルミタンク。一枚板から叩き出して仕上げた力作。
SEAT
ガスタンク一体型のリアカウルにジャストで収まるタックロールシートは神戸元町のモトデビルによるもの。
REAR COWL
往年のトレイシーボディにインスパイアされたリアカウル。ペイントは清水社長で、ピンラインはポッツさん。
MUFFLER
KRTTレーサーを念頭に、タイトなクリアランスで成形したワンオフマフラー。ショックはオーリンズ製を選択。
HOLE OF THE WALL MOTORCYCLES
住所 | 兵庫県神戸市西区伊川谷町小寺209-3 |
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電話 | 078-975-4823 |
FAX | 078-975-4827 |
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営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 木曜日 |