陸王RT-2型
BOOTLEG
強烈な個性がシンクロした
陸王ダビッドソン
クラブスタイルのマシンでアワードを獲得したと思えば、オーセンティックなチョッパーで話題をかっさらう。ひとつ所に留まることなく、縦横無尽にその磨き込んだ実力を発揮するブートレグ。今回は、陸王RT-2型をベースにした一台だ。
かつて、陸王フレームにWLエンジンを積んで販売されたことから、一部のファンの間でそう呼ばれた『陸王ダビッドソン』。当初は自分用にと、代表の菊原さんが手に入れた時は、フロント周りも付いていないボロボロの状態だったと言う。しかし、お客さんが付いたのを機に、徹底的にクリーンなフォルムへ持っていくことになった。
「結構なヤレ具合だったので、それを活かした形にしませんか? って。でも綺麗なカスタムが好きなお客さんだったので、もうイチから作っていった感じですね」
どうしても付けたいと言う持ち込みのヘッドライトとテールライト、そしてホイールは外せない箇所だった。特に前後ライトは、共に主張が強いパーツなだけに、そこだけが浮かないように配慮して全体を構成。タンクの色味や柄は、そのバランスを計ってのものだ。
「エレクトロラインの黄色のヘッドライトと、ロンフィンチのテールライトですから、かなりアクが強いんですよね。で、僕の勝手なイメージでロンフィンチは『紫』というのがあるから、それを何パターンか塗り分けてもらってます」
ペイントは、交流の深い車坂下モトサイクルが担当。レンズカラーに合わせて黄色のぼかしも巧みに入れたクラッシュホットだ。そして最大のポイントは、実は、エンジン周りだったりする。
「ものすごい状態だったんでそれを綺麗にするのが一番大変だった(笑)。もう半端じゃないほどグズグズだったんで、エンジンミッションは一度バラして、全部手作業で磨き込んでツヤを出してます。でもフルポリッシュしちゃうとかえって嫌らしくなるので、旧車らしい砂地の風合いは残しつつですね」
他にも、フィンのトップだけを削って磨くなど、舌の肥えたサジ加減は同店ならではのものだろう。一方、ワンオフのホイールである。楕円パイプを使い、名品のカルマグっぽさを出しつつインベーダーの旨味をも取り入れた造形にフィニッシュ。ヴィンテージパーツを咀嚼した独自の解答が、素敵だ。
更に、吊るしのままでは決して水平には付かない社外のWLマフラーを加工していたり、シッシーバーのデザインは個性の強いテールライトから注意を逸らすのも兼ねているなど、掘れば掘るほどに、話は尽きない。
陸王RT-2型 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはエイプハンガー好きのオーナーの選択。車体に合わせて幅を詰め、インナースロットル加工を施す。
FRONT FORK
VLフォークにヴィンテージのエレクトロライン製ヘッドライトを装着。テールライトとのバランスに苦心した。
FRONT WHEEL
カルマグ風インベーダーホイール。フェンダーはフロントレッグに付けてタイヤとのクリアランスを最短に設定。
GAS TANK
ロンフィンチの紫とエレクトロラインの黄色をイメージしたペイントは、車坂下モトサイクルによるもの。
SISSY BAR
テールライトの注意を逸らす目的も兼ねたシッシーバーデザイン。ステー周りの精緻な作り込みに注目したい。
TAIL LIGHT
ヴィンテージのロンフィンチをセット。存在感のあるパーツが浮くことなく、技巧を駆使することで全体に調和。
BUILDER’S VOICE
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