HARLEY-DAVIDSON S&S KNUCKLEHEAD
KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLE
引き算のボディバランスと
アップデイトボムの饗宴
丁寧に、手塩にかけて作ったのがありありと現れたマシンである。各パーツの作り込みや、目を奪う煌びやかなフィニッシュ、そしてワイヤーの処理に至るまで、すべてにおいて隙が無い。意気込みを聞くまでもなく、代表野呂さんの気迫がビッシビシに伝わって来るナックルヘッドだ。
「これは一度ショベルで作ったバイクなんだよ。それにナックルを載せ替えて、手を入れ直した。元々あったパーツはリアフェンダーとそのステーぐらいじゃない(笑)。カラーはゴールドで派手にする予定だったから、その分車体はシンプルにまとめようというのは最初からあった」
これまで各地を走り回って来たオーナーは、愛着の深いこのバイクを手放さず、敢えて改良することを選んだ。自分の体に馴染むフィット感はそう容易く手に入るものではないし、何より思い出が詰まっている。そこで、スタイルを一新するのではなく、ベースラインを維持した上で、各部をより高みへとアップデイトした。
前後ホイールには、スリムなフォルムに適した19/18インチをセット。39φフォークのインナーチューブは黒にハードコートされ、真鍮製ダストカバーには4 DIMENSIONS STUDIOの手で彫金が施されている。そして、一見ストックとおぼしき三つ又は、実はサンダンス製のオフセットタイプの側を削って装着したものだ。このように、ひとつのセクションだけを取っても見応えがある。
しかしその中でも注目はフットコントロールだ。「一番苦労したのはステップ周りかもしれないね」と言わしめたそこは、モトガジェットのバーエンドウインカーを付けたいがために、シフトペグ以外はすべてワンオフで製作。欧州のクオリティパーツと遜色無いレベルで違和感なく削り出す手腕はさすがである。
そして、ガスタンクにも難い演出が見て取れる。まずはハンドルを見て欲しい。フロントにディスクブレーキが付くが、どこにもマスタシリンダーの姿は無い。そこでブレーキレバーからワイヤーを辿っていくと、タンク下にそれを確認することが出来る。しかも完全に隠されたのではなく、ちょっとだけ覗いたチラリズム的なアレンジである。
「全部を見えなくするんじゃなくてわざとらしくね。見てよって(笑)。まあ余計なことかもしれないけど、皆がやらないことをやる『ひとつだけ感』っていうかさ。オーナーが喜んでくれれればそれが一番だし」
クオリティに定評のある欧州パーツと、同次元のワンオフパーツによって構成されたナックルヘッド。深みのあるゴールドパールと要所に使われた金メッキが見るも美しい輝きを放っている。
HARLEY-DAVIDSON S&S KNUCKLEHEAD DETAIL WORK
FRONT FORK
39φフォークのインナーチューブは黒でハードコート。三つ又にはサンダンス製のオフセットタイプを使用。
GAS TANK
タンク左側にモトガジェット製メーターが埋め込まれる。飾りのオーナメントとシフトステーは金メッキ処理。
FOOT CONTROL
シフトペグとウインカー以外はワンオフで製作。丹念に削り出して仕上げられたそれは見事な調和を見せる。
OIL TANK
スチールで作られたタンクとデザイン製の高いイグニッションプレート。シートは埼玉県戸田のスカンクが担当。
MUFFLER
マフラーエンドは意匠を凝らした部位。単にもうひとつ付けただけと言うがその完成度の高さはご覧の通り。
FENDER STAY
シンプルなフォルムにひと際映える作り込まれたステー周り。シルバーとゴールドのコンビがなんとも魅惑的だ。
BUILDER’S VOICE
KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLE
住所 | 埼玉県越谷市南荻島4015-9(Google MAPを開く) |
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電話 | 048-940-5118 |
WEB | KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLEのウェブサイト |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00/11:00 ~ 18:00(カフェ) |
定休日 | 木曜日、第3日曜日 |