HARLEY-DAVIDSON S&S KNUCKLEHEAD
JAPAN DRAG
6速セル付きの
夢のゴールドヘッド
ゆったりとした立ち居振る舞いから言葉の選び方、低く落ち着いた声色に至るまで、トータルで『重鎮』の雰囲気がバンバンに出ている人である。この道35年のベテランビルダー、ジャパンドラッグ代表の小川さんがその人だ。
面と向かった際にピュッと刺すような視線に一瞬緊張感が走るが、しかし、その後の顔全体で笑う笑神様のような表情を前に、最初のそれはほぐれ、親近感すら覚えることに。そんな場の空気が馴染んでいった中で、今回のナックルヘッドの製作記を聞いていくことにした。
コンセプトは、ガンガン乗れるナックルヘッド。S&S社の新品モーターに6速ミッションを搭載し、キックとセルスタート付きの至れり尽くせりな仕様である。’80年代当時、海外のチョッパーマガジンの『IN THE WIND』や『Easyriders』を見て、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながらカスタムしていた小川さんの言葉を借りれば、『夢のようなマシン』である。
第一に優先したのはナックルヘッドの造形が映えること。そして、シングルループのリジッドフレームを使ってどこまで面白くすることが出来るかだった。そこで、昨今の似通ったカスタムが氾濫する風潮へのアンチテーゼも兼ねて、全方位バッキバキに個性が効いた一台に仕上げられた。
まずフォークは、インディアンチーフの物をロング加工。その中にブレーキラインを入れて外観をクリーンに見せ、タンクはインディアンスカウト製を使用。曰く、「ありえない取り合わせが良いよね」とあくまでも変化球を楽しみつつ、今度は、前後18インチでボリューミーなファットスポークとむっちむちなファイアストンタイヤを装着。そこに来て、インパクトのあるゴールドフレイクのペイントワークだ。
「本来はラットになりがちな塗材なんだけど、非常にシックな趣になってくれたかな。渋い感じというかね」。そう話す小川さんは更に、昔からやってみたかったと言う24金メッキをタンクキャップやステップ、フェンダーステーなどあらゆる箇所に施工。これはお神輿を扱う専任の業者さんによる仕事だ。この、ゴールドフレイクに24金メッキを合わせるという自由な発想が実に爽快である。
「手前に引いたハンドルを握って当時のアメリカ人はのけぞるようにパンだナックルだに乗ってたんだよね。ちきしょう、そんなスタイルでビーチを走ったら気持ち良いんだろうなって思ってたよ(笑)」
インパクトのある外観に目が行くが、今回のナックルヘッドは当時のそんな原風景をも再現した一台でもある。
HARLEY-DAVIDSON S&S KNUCKLEHEAD DETAIL WORK
HANDLE
ステンレスでワンオフしたハンドルとドッグボーンライザーはブラスト処理で独特の鉄肌にフィニッシュ。
FRONT FORK
フォークはインディアンチーフ製を流用してロング加工。ゴールドペイントと要所の24金メッキがポイント。
GAS TANK
タンクはインディアンスカウトのリプロモデルを装着。和のペイントとキャップやステーの金メッキが見せ場だ。
FOOT CONTROL
徹底して統一されたゴールドカラー。フットコントロールも処理され、ブラックとのコントラストが映えている。
MUFFLER
ステンレスのワンオフマフラーもブラストを当てて特有の鉄肌に。エンドの細やかな作りも見逃せない箇所だ。
SISSY BAR
24金メッキのフェンダーステーとステンレス製シッシーバーをジョイント。意匠を凝らしたディテイルである。
BUILDER’S VOICE
JAPAN DRAG
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