HARLEY-DAVIDSON UL 1937
HAWGHOLIC MOTORCYCLES
Kフレーム・オン・ザ・UL
その名もURMモトクロッサー
端的に言うと、ショベルスポーツに採用されていたKフレームにビッグツインエンジンを搭載したスペシャルマシンである。元々KモデルにはKRMやKHRMというモトクロッサーモデルがあるのだが、ビルダーのホグホリック横溝さんはそのULバージョンを作ってみたかったと言う。
「Kフレームって小さくて純粋にカッコ良いじゃないですか。だからそこにビッグツインを載せたらどうなるんだろうって。あとは裏テーマがあって、30年代のエンジンが手元にあって、バイクを作るとなれば当然フレームを買わないといけない。でも今30年代のフレームってかなり高騰しててなかなか手が出にくい。そこでKフレームが思い浮かんだというのもあります」
世界広しとはいえ、おそらくまだごく一握りの人間しかチャレンジしたことがないであろう、『Kフレーム・オン・ザ・ULエンジン』。もちろん国内ではこのKRMではなく、いわば『URMモトクロッサー』なるもののカスタム手法をまだ聞いたことはない。
一般的に、このマシンがULだとは中々気付きにくいだろう。きっとKモデルと思う人が大半のはず。しかしそこに横溝さんの遊び心が現れていて、敢えてKモデルとULを天秤にかけて楽しんでいるようにも見える。この辺は旧車に精通したホグホリックらしいトリックともいえよう。
そして更に、蓋を開ければこのエンジンは1200ccではなく1340cc。つまり、側はULだが中身はULH仕様になっている。また、シリンダーフィンに付いた無数の冷却用ピンに、当時のレーサーからヒントを得たというカムカバーに刻まれたゴルフボールを思わす穴の数々が、雰囲気を一層盛り上げている。
この『URM』を前に、ULベースだとは気づかずに、Kモデルだと誤認する人がほとんどであろうことは先に触れた。しかし横溝さんはそこで、よりKフレームの特徴を押し出し分かりやすくするために、ステップ周りにわざとショベルスポーツの純正タイプを使っている。こうすることで、ショベルスポーツ好きはひと目でこの『URM』の骨格がKフレームだというのが分かるそうだ。
ファンの琴線を刺激するホグホリックによるカスタム手法。これは自身が自他共に認めるギークヘッドだからこそなせる業である。
そして、見る人を嬉々とさせるポイントで外せないのは、ガスタンクとオイルタンクに貼られた海外マガジンの切れ端だ。
「あれはマガジンを切って、スプレー糊でこつこつと貼ってくんです。カーブになる部分は切れ込みを入れて丸く貼れるようにしたりと結構大変だった。それで、全部貼ってからクリアーを吹いて完全にコーティングしてお終い」
今回の『URM』のスタイルが斬新だったこともあり、それに合わせてかねてより構想にあったこのペーパーペイントを実施したと言う。ちなみに製作にあたっては、飛び道具的希少なビンテージパーツの類は一切使っておらず、同店のアイデアと感性のみでフィニッシュした一台となっている。
HARLEY-DAVIDSON UL 1937 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークはショベルスポーツのφ33.4を採用し、ヘッドライトは無し。フロントホイール径は19インチである。
GAS TANK
ハマータンクを使用。海外マガジンの切れ端を一枚ずつスプレー糊で貼っていきクリアー塗装でフィニッシュ。
ENGINE
見た目はULだが中身はULHで1340ccとホットな仕様。キャブには定番のリンカート74Bが付く。
FOOT SHIFT
年季の入ったカバーが目を惹く。Kフレームを認知しやすくするためにショベルスポーツのステップを使う。
MUFFLER
マシンのスタイリングに見事なマッチングを見せるスラッシュカット。このピンポイントの選択が同店の真骨頂。
REAR FENDER
店に転がっていたフラットフェンダーを使い穴開き加工を施す。「246」は千里浜サンドレース出走時のもの。
BUILDER’S VOICE
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