HARLEY-DAVIDSON XL1200S 2002
45 DEGREE/Rignise Hiroshima
ボアダウンで滑空する
いいとこ取りのマジック
スポーツスターに『古き良き時代』というものがあるとすれば、そこにはアイアンスポーツの時代が間違いなく引っかかってくるだろう。エッジの効いたシャープさがありつつ、それでいて少し野暮ったいヴィンテージ感のあるスタイリング。今回紹介するのは、そんな時代をエボスポーツで表現したマシンである。手掛けたのは、車両販売部門を『リグニス広島』として新たな展開を見せる45ディグリー。
まず驚いたのは、このマシンのベースがXL1200Sだということだ。1200Sといえば、カートリッジフォークにフロントはダブルディスクブレーキ、ツインプラグ、……など他モデルには無いガジェットを装備することで知られるが、このマシンにおいてはそれらをすべてキャンセル。徹底してシンプルな作りにモディファイされている。
さらに最大のサプライズはエンジンのボアダウンだ。その選択について45ディグリー代表の保浦さんはこう話す。
「1200Sのエンジンフィールはパンチはあるんですが、乗り手によっては乗りにくさを感じる場合もあるんです。そこで1000ccへのボアダウンという選択をしました。シリンダーとヘッドは883用を使って組み直してます。883の乗りやすい軽快さと1200のパンチ、そのちょうど中間になる『いいとこ取り』の排気量なんですよ」
この辺りはチューニングを得意とし、内燃機にも造詣が深い45ディグリーならではの提案と言えるだろう。
外観に関しては、ストックより小ぶりな2.25ガロンガスタンク、やや肉厚なシートなど各部にXLCHへのオマージュを感じさせる。しかし、それでいてホイールは前後ともサンダンスのトラックテック・7スポークを履かせ、エキゾーストパイプも同じくサンダンスのXEXパイプを採用するなど、ハイパフォーマンスなレーシー系の雰囲気を匂わせるあたりが巧みだ。
「オーナーさんはこれまで様々な国産バイクを乗り継いで来られた方で、これが初めてのハーレーなんです。普段の足としても乗る方なので、スパルタン過ぎず、リラックスして乗れるような仕様になっています」
豊富なバイク経験を持ったオーナーだが、このスポーツの雰囲気や乗り味が好きで、乗り換えるつもりはないと話してくれていると言う。バイク屋にとっては、これほどの賛辞は他にないだろう。
国産からハーレーに乗り換えるや呼吸がピタリと合ったオーナーは、今日も見えない翼を広げて、広島の街を滑空しているはずだ。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON XL1200S 2002 DETAIL WORK
HANDLE
夜の走りも考慮してヘッドライトはLED化で明瞭な視界を確保する。ハンドルはイージーライダース製を選択。
FRONT WHEEL
レーシーな雰囲気のトラックテックのホイール。純正ブレーキに45ディグリーオリジナルの赤パッドを装備。
GAS TANK
‘90年代の2.25ガロン純正タンクに、’60年代のXLCHをイメージしたペイントは『マイロード』の手によるもの。
ENGINE
ボアダウンされ1000ccとなったエンジン。純正エアクリーナーにデッドストックの『1000』プレートを配した。
REAR END
Rサスはスポーツライドを考えIKON製13インチをチョイス。シートはイーストアーバン製のXRタイプ。
MUFFLER
‘70年代のXLに採用されていたX型パイプを再現したサンダンス製XEXパイプをセラコートでブラックアウト。
BUILDER’S VOICE
45 DEGREE/Rignise Hiroshima
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