HARLEY-DAVIDSON XLH 2001
GRAVEL CREW
大勝負に舞う
秘蔵のスプレーガン
グラベルクルーの特徴が全面に現れた、艶やかな曲線美を持つマシンだ。エンジンを中心に各パーツがギュッと引き寄せ合うかの濃密なフォルムを形成し、コンパクトかつボリューミーな、同店のテイストが光った一台に仕上げられている。
「お客さんのオーダーで、うちで扱っているスポーツスターのコンプリートカスタムとは別次元のものを作って欲しいと。信用してもらっているというか、間違いないだろうというところで、色以外のスタイル全般はすべてお任せで作らせてもらってます」
いわば、グラベルクルーのコンセプトモデルである。代表太田さんの真骨頂と呼ぶべきタンクからフェンダーへと連なる、流れるようなボディシェイプ。そして、全体のイメージソースとなる英車の世界観。同店を象徴する要素が余すところなく注入されている。
「カスタムのイメージはハーレーから来てるものではないと思う。元々英車が好きということもあって、やっぱりトライアンフとかからの影響が大きい。これまではそれをXSやSRで表現してたけど、スポーツスターでも同じようなシルエットが出せたら面白いなと」
まず、ノーマルのフロントフォークはアウターチューブを旋盤で2mmずつ削ってナロード。その細さに合わせて、ジャストなサイジングでワンオフのカバーを装着する。そしてタンクは当初、えぐった部分の鉄板を内側に入り込むような形状にしようとしたものの、それでは雰囲気が出過ぎるために断念。シンプルに、平板を貼ったフラット仕上げに落ち着いている。
リアエンドに目を移そう。聞けば、長さの違うリアフェンダーをいくつか作り、その中で一番フィットするものを使用したと言う。ワンオフのオイルタンクと一体化したそのデザインからはスピード感が漂い、俊敏な動きも想像させる。マフラーは、リアエキゾーストを一旦前に逃がしてから後方へ流し、エンドはストレート形状だと飽きてしまうことから動きを付けてフィニッシュされた。
最後に、ペイントである。ギラギラしないよう綺麗目に仕上げるのが難問で、いかにゴールドとネイビーカラーを上品に調和させるかが焦点となった。そこで、太田さんはオーナーの希望する色味を再現するために、自らがペイントを担当。外注に頼むと、色の再現に時間がかかってしまうからで、更にそれをオーナーを交えた三者間で共有するとなれば、すんなり行くのは不可能とさえ言えた。それはナポレオンでも辞書に不可能と書き足すレベル。
「よほどのことが無ければやらない」、と笑う氏はそこで、スプレーガンを手にオーナーと二人三脚でキャンディブルーとゴールドの鮮やかな世界をここに描ききった。
HARLEY-DAVIDSON XLH 2001 DETAIL WORK
FRONT FORK
純正フォークのアウターチューブを2mmずつ旋盤で削り出し。その形状に合わせてワンオフのカバーを装着。
GAS TANK
鉄板を使って加工。内側にシェイプした箇所は当初、フラットではなく中に入り込む形状を検討したそうだ。
OIL TANK
収まり良く配されたオイルタンク。サブフレームをカットし、エンドは鋳物のテイストを残して丁寧に処理される。
REAR FENDER
数個作った上でひとつずつ合わせていき、ベストな物を選択。フェンダーにすっぽり隠れる形でライトが付く。
COIL & BATTERY
コイルやバッテリーの収納にもそれぞれ丹念な手が施される。シンプルなステーひとつにも拘りが現れている。
MUFFLER
無理のない自然な形状のワンオフマフラー。エンドは直線デザインだと芸が無いことから動きを付けている。
BUILDER’S VOICE
GRAVEL CREW
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