
H-D FLH Duo Glide Police 1962
BOOTLEG
黒人コミュニティがうずく
溶け込むカルチャーの蒸留酒
1962年。パンヘッドという時代が終焉に向かう黄昏時に生まれたこのベース車は、単なるヴィンテージバイクという枠を超え、ある種の物語を抱きすくめた一台としてそこに佇んでいる。
その出自は、秩序を守るためのポリススタイルにある。本来、この年式のデュオグライドであれば、ハンドクラッチにマウストラップ、そしてフットシフターという機構が与えられているはず。
しかし、この個体は警察官が片手を自由に使えるよう、あえてハンドシフトとロッカークラッチが採用されているものだ。

主人の菊原さんのインスピレーションの源流にあるのは、1960年代から’70年代のアメリカで、一部の酔狂な黒人コミュニティによって育まれたデコレーションカルチャー。いわば「ブラックデコトラ」とも呼べるその煌びやかな世界観を土台に、近年の西海岸の「チョロスタイル」のエッセンスを微量に混入。
しかし、あくまでFLHが持つ重厚さを崩さぬよう、ギリギリの均衡で抑制されているのがこのカスタムの妙だ。

目を細めるまでもなく、至るところに年月の胎動が埋め込まれている。菊原さんは長い時間をかけて収集した当時物のヴィンテージパーツを惜しげもなく投入した。
前後のBUCO製バンパーや妖しく光るマーカーライト、そして当時「ウー」という唸り声を上げたであろう純正のサイレンス。枚挙にいとまがないこれらは単なる部品ではなく、過去の情景を現代に運ぶタイムカプセルだ。

そして足周りの絶妙なサイジング。ハーレーらしさの象徴であるナセルヘッドライトやバイザーライトの威風とした顔つきを残しつつ、フロントホイールには21インチのスターハブを選択。本来の16インチが持つ野暮ったさを削ぎ落とした、すらりと伸びたスポークが好ましい。

ボディを彩るペイントワークにも揺さぶられる。それはかつて、シェビーバンやダッジバンに描かれたヒッピーたちが愛した、サイケデリックなペイントを彷彿とさせるもの。
BUCO製のサイドバッグが持つ経年の質感さえも活かしながら、ブラックとヒッピーの異なるカルチャーをひとつの車体の上で鮮やかに融和させている。

「パーツの組み合わせの感性であり、それらを編み上げたキュレーション」
4速フレームを素地にして、ポリスの堅牢さとブラックデコレーションの艶やかさ、そしてヒッピーの自由な魂を封したこのデュオグライド。それは、作り手の五感を通して濾過された、濃厚で芳醇な、アメリカンカルチャーの蒸留酒である。
HARLEY-DAVIDSON FLH Duo Glide Police 1962 DETAIL WORK

HANDLE
当時物のスカイハイバーに、ケーブルラップもヴィンテージを使って巻き直し。シフトはハンドクラッチとなる。

FRONT END
豪奢な前周り。純正ナセル脇にフォグを2連装着。フェンダー上にオーナメントやマーカーライト等が溢れる。

GAS TANK
タンクと前後フェンダーは純正品。キャップやメーター周りのパーツ選択も隙が無い。塗装は新潟ライズが担当。

SIDE BAG
純正フェンダー横にBUCO製サイドバッグを配備。テールランプの周りにはバンパーや無数のライトが飾られる。

REAR FENDER
ベースカラーが程よくヤレていたのでそれを活かして当時の世界観で塗装。シートは唯一ともいえる現行タイプ。

MUFFLER
若干長めに吟味して延長させたマフラー。フェンダーバンパーはBUCO製で他ライトにもヴィンテージを奢る。
BUILDER’S VOICE
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