
HONDA CB750 F2 1977
D-club Custom Ranch
オーナー自ら手を加えた
EUスタイルのカフェレーサー
1960~’70年代のレースシーンで世界を凌駕した国産空冷四発。いまでは絶版車と崇(あが)め立てられ、ストックの調子がいい車両には、正気の沙汰とは思えないほどのプライスが掲げられている。
日本だけでなく海外でも人気だから、国内にあったそれらのマシンは海を渡り、国内に残っているのも少なくなっているのが現状だ。

山陰地方東部ではカスタムと並び、パウダーコートといえば『D-club Custom Ranch』というほど、その実力が認められているファクトリーに、シックなカフェレーサーが止まっていた。
美しい塗装仕上げと、そのカラーコーディネートはさすがだ。カスタムデザインとしては、あまり日本で見かけないスタイル。いかにもヨーロッパのカスタムシーンに登場するようなカフェレーサーだ。

「状態のいい空冷四発なら高いですけど、これはボロボロに朽ちていた感じだったんですよ」
オーナーのリクエストにより、カフェレーサーとして生まれ変わっている。
「一見さんに国産カスタムをオーダーされてもお断りしますが、オーナーはハーレーもここで作った方ですからね」と、その素性を語る。

改めて品のいい躯体(くたい)を隅々まで眺めてみる。ベースとなったのは1977年製HONDA CB750 F2だ。フロントフォーク、トリプルツリー、ガスタンク、ホイール類はノーマルのままだというが、フレームを加工しているのでその面影はない。
さらに、残っていたノーマルパーツもかなり朽ちていたようだ。ボコボコとなっていたガスタンクを修正し、エンブレムがあった凹みもスムージング。
大きなパーツだけに、独特なカラーチョイスと相まって、これが本場EUのカフェレーサーを彷彿とさせるようだ。シートカウルもウッドで作られているように見える。これをわざわざワンオフしたのだろうか。

「オーナーが自分で作ったんですよ。元になった素材は将棋盤で、最初はサンダーで削りだしてから、最後は手作業で磨き込んだみたいです」
ショップお任せではなく、オーナー自らも手を加え、理想のカスタムマシンへと仕上げる姿勢にある種の特別な情熱を感じる。

一方で仕上がったカフェレーサーのスタイルには熱を感じず、クールだ。そして、エンジンに火を灯せば、世界を凌駕した空冷四発の鼓動が高らかと鳴る。
走り出せば、ライダーの心臓にも火が延焼し、アクセルを閉じることができなくなる。走ってなんぼという、バイクの真価を示しているようだ。
(文/野上真一)
HONDA CB750 F2 1977 DETAIL WORK

HANDLE
トリプルツリーこそストックだが、ベース車両が朽ちていたので、メーターやスイッチ類は一新された。

STABILIZER
フェンダーレスとなったフロントまわりをスタビライザーで補強。フロントホイールはノーマルの18インチ。

GAS TANK
シルエットこそCB750の面影を残すが、エンブレムはスムージングされ、独特な調色がECカフェの品を醸す。

SEAT COWL
空洞ではなく、中の詰まった個体となるシートカウルは、オーナー自ら将棋盤からサンダーで削りだした力作。

DRIVE CHAIN COVER
チェーンカバーはワンオフ。YSS製のリアショックを装着し、リアホイールはノーマルの18インチとなっている。

MUFFLER
オーナーが持ち込んだマフラーを加工して装着。レーシーな削り出しのバックステップもオーナー持ち込み。
BUILDER’S VOICE
D-club Custom Ranch
| 住所 | 鳥取県鳥取市賀露町4093 |
|---|---|
| 電話 | 0857-30-1340 |
| FAX | 0857-31-3358 |
| SHOP | D-club Custom Ranchのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:30 ~ 19:00 |
| 定休日 | 火曜日 |

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