
H-D XLH883 1997
TRUST MOTORCYCLE
幅を広げる
三つ巴のファルセット
カスタム製作と並行して、バイカーズカフェ『BIKER’S IN TRUST』や車両販売といったセクションも多角的に手掛けている。このどの部門も広く間口が開かれていることがバイク乗りの目的地として好まれ、週末問わずに賑わいを見せている。

車両販売を中軸に据えつつカスタムへの熱誠も高い。販売店にありがちなカスタムをないがしろにしたフォローは見当たらず、販売とカスタムを同軸で捉えたショップスタンスが関心を引く。それは全国のカスタムショーへの意欲的な出展がなによりもの証左だろう。

ハードテイル化したスポーツスター。オーナーの要望としては『ザ・チョッパー』的な激しめのシッシーバーやのけ反るハンドルまではいかない、ほどほどのカスタムが希望だったと言う。そこで工場(こうば)を預かる吉光さんは、オーナーの嗜好を取り入れたちょっと低めのチョッパースタイルに舵をとった。
「たまたま来店された時にソフテイルがあってそれを見て良いなって。でもソフテイルだとおっき過ぎる。やったらスポーツスターでハードテイルにしましょうかって話になったんです」

骨格のアウトラインを固めた後に、早速各パートに取りかかった。まず、ガスタンク。メーターを埋め込んだセンターカバーが見せ場となる本体は分割式で、その左右タンク間の空隙に配線類を収納し、アルミ板を加工したカバーで蓋をした。
その蓋になるアルミカバーの両縁にはアルミの丸棒を添えて量感を出し、メーターを埋め込んだあとの隙間には更に上からアルミ板を二重に貼って遮蔽。最終的に溶接個所をスムージングしてバフで磨かれた。

マフラーはありそうでなかったデザインを意図したものだ。前後でパイプ長が違うのを嫌い極力等長になるよう心がけ、排気効率も確保したレイアウトでマウント。鉄製メッキ仕上げのマフラーに対してガードはアルミ製で造作し、それぞれが持つ異素材の輝きの共演を表現する。
また、ヘッドライト上のスイッチボックスを兼ねたオーナメントもタンクとマフラーに続く見せ場のひとつで、表面の二枚重ねた鉄板の一枚を切り抜いてそこにレザーを貼り、主体にはイグニッションキー等を格納。

一方、アルミ製のシートマウントや左右で形状を換えたオイルタンクも同じ向学心でカタチにしたディテイルである。こうしたカスタムショップ的ムーブと販売店とが共存したスタイルが先のバイカーズカフェの極め付けをともない、三つ巴のファルセットを響かせている。
HARLEY-DAVIDSON XLH883 1997 DETAIL WORK

HEAD LIGHT SWICH BOX
オーナメントを兼ねたライトボックス。表面にレザーを貼り、スイッチはイグニッション、ハイ/ローとなる。

GAS TANK
分割式タンクのカバーはアルミ板で製作し、縁にアルミ棒を付帯。メーター隙間には上から二重でアルミ板を貼付。

SEAT MOUNT
シートマウントもアルミで造作し、立体的なフォームに成形。フレーム直付けではなくわずかに宙に浮かして設置。

MUFFLER
ありそうでないを意図したマフラーレイアウト。ガードは敢えて特有のしっとりした輝きに惹かれアルミ製に。

HARD TAIL
当初はリジッドの予定はなかったそうだが急遽ハードテイル化。ストレートラインがオーナーが心に留めた箇所。

SISSY BAR
やり過ぎることなく車体に合わせて程よく主張したデザインに。シンプルなゴールドのピンラインが映える。
BUILDER’S VOICE
TRUST MOTORCYCLE
| 住所 | 大阪府豊能郡豊能町川尻14-1 |
|---|---|
| 電話 | 072-743-9093 |
| FAX | 072-743-9094 |
| SHOP | TRUST MOTORCYCLEのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 火曜日 |

H-D FLH 1959
H-D FL 1950







