HARLEY-DAVIDSON XLH1200S 1998
THE OLDSPEED FACTORY
色褪せない
米英のコラボレーション
しっとりと落ち着いた、大人の色香を漂わせたダートスタイルだ。各部の作り物で自己主張するのではなく、トータルでのバランスとカラーリングで居住まいを正す。なんとも品の良い一台である。
製作は、男前なフィニッシュに定評のあるオールドスピードファクトリー。英車とXRのダートレーサーをイメージソースにカスタムを手掛けたと言う。まず、フレームはストックの状態を大きく変えないよう、最小限の手入れで狙った効果を最大化させている。
手始めに、リアのストラットの付け根からがっさりカット。本来その部分は一段下がっているのだが、そこに全体の雰囲気を崩さないようリブを立てた鋳物加工済みのスチールを付加した。そして水平ラインを出した上で、往年の英車に見られた別体式のステーが装着される。
見せ場となるマフラーはどうだろう。かつてパーツ製造会社でみっちり修業を積んだ、代表坂井さんの腕は折り紙付きである。XRのダートレーサーに倣ったシェイプは、市販のベントパイプと45φのスチールパイプに砂を詰めバーナーで炙って手曲げで成形したものだ。もちろんオーバル型のサイレンサーもワンオフで、内部は45φの外径で巻かれている。「ストレート構造のパンチングをグラスウールで巻いて、スチールのパンチングエンドの最終的な表面処理は亜鉛メッキの黒でいってますかね」と、慣れ親しんだ作業なだけに自然とその口調も軽やかだ。
ハイライトになるセクションのみならず、細部にも氏の感性がたっぷりと注入される。フロント周りのステムボルトは曰く、チェリアーニフォークもどきと笑うワンオフだ。そして、ライザーは端の下駄部分ギリギリまでショートカット。これは、ヘッドライトバイザーが無い場合、バランスが取れず不格好になるとの理由からである。
ヘッドライトは汎用品ながら、なるべく前に出っ張らせず奥にマウントしたかったため、ワンオフのステーで可能な限りオフセット。しかしそこで問題となったのが、ステムにあるハンドルロックとの干渉で、そこを切り取りスムージングしなければここまで上手くは収まらないパートであった。
ビルダーの中でもこだわる派か否かに分かれるホイールとタイヤについても持論を展開する。元々はキャストだったホイールとハブをスポーク仕様に換え、リムはドロップセンターリムが一般的だが、重くゴージャス感が出てしまうのを嫌いコンベンショナルタイプを選択。タイヤはパターンとグリップ共に良好な定番のダンロップK70のセットアップだ。その話の熱量からは、カスタム時のウエイトの大きさも伺えた。
「10年、20年経っても飽きることなく、手を加えた方向性がきちんとスポーツスター本来の延長線上にある」。そんな意気でメイクされた一台には、廃れることのない凛とした佇まいがある。
HARLEY-DAVIDSON XLH1200S 1998 DETAIL WORK
FRONT FORK
ノーマルフォークのボトムケースをブラックアウト。ヘッドライト周りを加工し極限までオフセットされる。
HANDLE
トラッカーバーを支持するライザーをショートカット。チェリアーニもどきと言うステムボルトはワンオフ。
GAS TANK
FXEのタンクを6分割してコンパクトにリメイク。キャップは英車のイメージを踏襲してイートン製を装着。
SEAT
フラットフェンダーとスパルトテール、TTシートのシンプルなコンビネーション。ステー周りが見所となる。
REAR SHOCK
ロングタイプのプログレッシブ製12.5インチのカバーを外してマウント。ホイールはコンベンショナルタイプ。
MUFFLER
当時のXRレーサーをモチーフに、技術を駆使して製作したマフラー。パンチングエンドが雰囲気を盛り上げる。
BUILDER’S VOICE
THE OLDSPEED FACTORY
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