H-D FXRS 1993
VIDA MOTORCYCLE
答えを導きだす
FXRという劇薬
北九州高位の作り手として、これまでハーレーのダイナやFXRをベースモデルに使ったスピードクルーザーカスタムを展開。そしてそれらは期待通りの盛り上がりを見せ、またたく間に界隈のトレンドを牽引する存在となり、その震源として大きな吸引力と共に声量を増してきた。
しかしである。『ヴィダモーターサイクル』の精髄(せいずい)はそこではなく、実は骨格から外装までを丹念に作り込んでいくフルスクラッチのカスタムの方にあると認識している。こちらは1993年式FXRSを素材にしたフリスコスタイルだそうだ。
「まあシマが15年前ぐらいからのお客さんだったんですけど、カスタムの順番待ちみたいな感じで最初希望していたのとは違うカタチで乗ってくれてたんです。だけどウチのスタッフになったタイミングでぼそっと『チョッパーに乗りたい』って言ってきたんですよね」
正式にスタッフとして迎え入れた彼に用意したのは、FXRフレームのフリスコスタイルだ。リジッドフレームのフリスコスタイルが王道の中、そこを外してラバーマウントモデルをドレッシーに構築してくるあたり、いつものごとく趣味がいい。
ポイント的にはフレームとガスタンクが挙げられる。まず骨格となるフレームだが、FXRフレーム固有の角パイプ部分は見るも美しく除去。メインチューブからシートレール下にかけてを跡形もなく一掃してクリーンにデフォルメ。
そしてステム位置を上方へとストレッチさせるが、これも単に伸ばしただけではないバランスの妙を目の当たりに出来る。この横から見た時の均整の取れたシルエットはフリスコファンならずとも胸騒ぐものだろう。
一方、ガスタンクの造形である。ここまで盛大に息を吹き込んでおきながら既製品のポン付けで済ますはずもなく、段差を取り入れた立体的デザインに成形。ロングフォークのフリスコスタイルという設計上、フロントとリアエンドの高低差に軟着陸するベストな位置にマウントし、仕上げは旧知の『420カスタムズ』による典雅なペイントワークである。
そして更に、配線も徹底的だ。全ての配線は用意したチューブを通してフレーム内へと逃がし、また、クラッチワイヤーに至るまでを隠したかった為にわざわざ油圧クラッチへと換装して、ケーブルはタンク下へと退避。やはり店主の大久保さんという作り手を俯瞰して見て、一旦火が付いたときの熟度はそらおそろしいものがある。
HARLEY-DAVIDSON FXRS 1993 DETAIL WORK
HANDLE
クラウス製ライザーにスーパーバーを装着。配線やケーブルなどを極力クリーンにするためクラッチは油圧式に。
FRONT FORK
8インチオーバーのフォークには2000年以降のアウターチューブを用い、インナーにDLCコーティングを施工。
GAS TANK
ひと手間ふた手間加えて成形したと話す立体的意匠を入れたタンク。塗装は山口県の『420カスタムズ』が担当。
MUFFLER
サンダーヘッダーはヘダース部をハイパイプに。シートレール周りのパイプワークはすべてリメイクされた。
REAR FENDER
リアフェンダーはノーマルでショックにオーリンズ製を選択。ガンファイタータイプのシートはオリジナル品。
SWING ARM
スイングアームは名品のチョッパーガイズ製。昔購入していたのを隠し持っていたそうで、それを今回投下した。
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