
H-D FXS 1981
MC CATS
ミラーボールに群がる
アイスアイスベイビー
当然のこととして出て来た感がある。鳴り物入りでスポットライトを浴びての華やかな登場という訳ではないが、自力でもってカスタムシーンのど真ん中に切り込んできた作り手だ。
中堅と若手でいえばその中間の部類に入る郡(こおり)さんにはまず、勢いがある。そして何より、感性のキレがいい。ブルーフレームにイエローの外装なんていう玄人はだしのセットアップを、素知らぬ顔でやってのけるあたりからして洒落にならない。

話せば分かるが、至っての快男児である。その氏が仕込んできたのがフリスコスタイルのチョッパーで、一般的に人気の高いリジッドフレームでもダークカラーでもない、4速フレームの原色カラー。まだ年端のいかない作り手なら間違いなく敬遠するであろう高難度の代物(しろもの)だ。

「ブルーフレームを使ったチョッパーを作りたいと思ってたのがひとつと、たまたまこのタンクを購入する機会があってそれがハマったというか。黄色と青と紫のフレイムスっていうのが’80年代っぽいなって。ああ絶対カッコいいみたいな感じでした(笑)」
言ってることはよく分かる。が、今のトレンドや人気になびくことなく、自分の感性のおもむくまま豪快に歩を進めるところに氏の人間力があり、未来がある。

「作る前のイメージですか? それは頭の中でなんとなく、’80年代のロゴとかそういうのを見ててこの配色ならカッコいいなっていうのはあったんです。だからそれをそのままバイクに落とし込んじゃえって。そういうのがもうビンビンです(笑)」

車体全体の構築具合にも光るものがある。どのパーツも徹底的に作り込まれた一品物というわけではないが、その装着箇所の自然さには舌を巻く。タンクやフェンダーなどの違和感のない収めかたを始め、一方で、ターンアウトの2イン1マフラーやセブンキャストホイールといった申し分のないパーツ選択にはさながらベテランの剣舞のような成熟感がのぞく。
「ポイントは絶対的に配色ですね。あとはこの走りにふったフリスコの感じというか。いや、でも気に入ってる所っていったら全部ドンピシャですね、作りたかったやつみたいな。全部カッコいいみたいな感じです(笑)」

勢いよし。そして美的感覚よし。例えば、技術というものは修練を積むほどに磨きをかけることは出来る。が、美的なものに関しては残念ながらどうにもできないことだってある。その点『MCキャッツ』の行く末は、こってりと、見晴らしがいい。
HARLEY-DAVIDSON FXS 1981 DETAIL WORK

HANDLE
ライザーとハンドルはショップに在庫していた物を使用。ブラックアウトで引き締めたハンドル周りを形成。

FRONT FORK
純正39φフォークをジョイントパーツで約4インチ延長しアウターチューブを黒色に。ヘッドライトはLED化。

GAS TANK
ネットで手に入れたガスタンク。このカラーリングとブルーフレームとの相性の良さを想像してカスタムを開始。

FOOT CONTROL
ワンオフのミッドハイの操作系が特有のポジションを生む。ペグ類はアルミで、それ以外はスチールで製作。

MUFFLER
ターンアウトの2イン1マフラーも単一で用意。この辺の非凡なパーツチョイスが全体の完成度を高めている。

REAR FENDER
アレンネス製フリスコフェンダーを加工して配備。塗装はガスタンクに合わせた色味にオービスワンが担当。
BUILDER’S VOICE
MC CATS
| 住所 | 福岡県福津市中央6-6-16 |
|---|---|
| 電話 | 080-3371-3862 |
| SHOP | MC CATSのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 月曜日 |

H-D FXWG 1985
H-D FXRS 1993







