H-D FXWG 1980
HOT SPICE CUSTOMS
天秤にかけた
上品と下品の会食
バイクパーツ&アパレルブランドの『WHALE & CO.(ホエールアンドコー)』のコンセプトバイクとして製作された2台のチョッパーのうちの一台である。こちらのオレンジと、もう一台の方のブルーのチョッパーの基本設計は同一で、王道を行くトライアングルのフレームワークに鮮やかなペイントで彩った装いが秀麗なダブルサイドだ。
「ウチのブランドの世界観は完全にミクスチャーで、こういう1970~’80年代のノリに、チョッパーだけじゃなくてBMWとかヨーロッパのバイクのテイストも入れてもうごっちゃにしていこうという感じです」
まだブランド立ち上げ年数の若いWHALE & CO.だが、オーナーによれば、この先多様な商品を出していく過程で世界観を決めていければと話す。そして、ブランド自体をブラッシュアップしていく上で、はたして何年後には一体どうなっているのか、という手ばなしの期待もあるそうだ。
そうした、ブランド旗揚げという記念すべきターニングポイントで製作を任されたのは『ホットスパイスカスタムス』の笠井さんである。オーナーとの交友の深い氏は、始めからこのカタチに決まっていたのではなく、話を聞くたびにいろいろ方向性が変わりながらも最終的にこのスタイルに落ち着いたと言う。
しかし普通なら、作業段階に入ってからの軌道修正はことさら難しいものだが、それをスマートに着地させられたのはきっと、二人の良好な関係性が土台にあるからだろう。
「まあオーナーも一緒に手伝って作ってたとこもあるんですよ。やし、自ら手を汚しながらできひんとこは僕が手伝ったりして組み上げてったんで、ショーバイクという意味合いだと100パー綺麗な感じじゃないです」
でも、オーナーの想いというか愛情がたっぷり入った感じです、と笠井さんは続ける。さて、そのオーナー固有の感性がまた素敵だ。かのハイブランドGUCCIの’70年代製チャームを切り取りそれをシフトノブに埋め込んだのを始め、ガスタンクのグラフィックには芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『岩窟の聖母』を転写。この辺の演出が実に雅(みやび)やかである。
「僕が普段アートの仕事をしてるんで、まあ安易ではあるんですけどアートとチョッパー。なんか上品なものと下品なものを組み合わせてやりたいというのがこのバイクのコンセプトなんです」。その発想が異彩だし、アイデアの引き出しが型にはまらない分、そこには、古典文化を再生したルネサンスの余香がなびいている。
HARLEY-DAVIDSON FXWG 1980 DETAIL WORK
HANDLE
全体のトラディショナルなシルエットに合うように、ハンドルとライザーは汎用品を使いシンプルにまとめる。
GAS TANK
上面をわずかに下げ段差を付けてモールディング。芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画『岩窟の聖母』を転写。
FOOT CONTROL
プライマリーカバーはパンヘッド用で、フットコントロールはワンオフ製作。スーサイドのジョッキーシフト化。
SEAT
WHALE & CO.オリジナルシート。オーダーメイド品のキング&クイーンタイプの横にアクセントを添えた。
MUFFLER
マフラーはパウコ製スラッシュカットを設置。先人たちが愛してきたスタイルをトレースし飾らずに仕上げる。
SISSY BAR
単一で作製したシッシーバーにはハイトを持たせ、テールライトに米国トラックのマーカーランプを採用。
BUILDER’S VOICE
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