H-D FLH 1980
HOT SPICE CUSTOMS
歌うように風に乗る
良縁のカンタービレ
1970~’80年代のチョッパーや欧州のバイクも含めたミクスチャーな世界観からなるパーツ&アパレルブランドの『WHALE & CO.(ホエールアンドコー)』。このチョッパーは、そのブランドのコンセプトバイクとして同じ毛色で製作した二台のうちのひとつだ。
各カスタムバイクショーにも出展された『ホエール』のブルーとオレンジの二台は、野性味のあるチョッパーというキャンバスに、美的要素を注入した奥ゆかしいフォームが麗質となっている。
ここでピックアップするブルーの一台は、ブランドと並行して音楽教室も経営する女性がオーナーである。4歳からピアノを始めて、音楽大学を経て、そのまま伝える仕事を選んだいわば、自分の『好き』をひたむきに探究してきた楽師である。
「最初は生徒さん一人からスタートして、気付けばおっきくなったって感じですね。私はピアノとあとボイストレーニングの講師もしているんです。生徒さんはそれこそ0歳から80歳ぐらいまで来てくださってて100人以上は教えています(笑)」
実はオーナーの生家は由緒ある滋賀県のバイクショップで、もちろんそれが現在の彼女の物語に密接に結びついている。聞けば、両親共にバイク乗りで、一般的には女子の場合「免許は取るな」と諭されるところだがその逆であった。
「まったく逆で、もう教習所行ってきなさいみたいな感じでバイクも用意されてって感じでした(笑)。でも最初は乗ってもこんなものかという印象でしたけど、ハーレーに乗って女の子の友達も出来てからめちゃくちゃ楽しくなりましたね」
ハーレーのダイナに乗ってから一気に景色が拓け、その後段々と興味を惹かれていったショベルを手に入れることになった。しかし米国で見付け出した個体は、パーツがバラバラのバスケット状態だったが、それを輸入して頼りの父親に組んでもらったと言う。
「それから7年ぐらい乗っていたんですけど、去年ホットスパイスさんでカスタムしてもらったんです。格好良くてずっといろんなバイクを見てたんですけど、ご縁があってお願いすることにしたんです」
そんな彼女にはある想いがあるそうだ。それは、男性的なイメージのあるチョッパーを綺麗に、お洒落に乗ること。バイクを降りてもそのまま街で買い物が出来るような感じで乗ることが彼女の想いである。
そう楽し気に話す彼女のライディングを追えば、ひときわカンタービレがそよぎ、大小さまざまな音符が全身から弾けるようだ。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1980 DETAIL WORK
FRONT FORK
全体的にはトラディショナルなシルエットを形成。ヘッドライトはユニティ4.5インチのフォグランプを装着。
GAS TANK
ピーナツタンクを中央で詰めてナロード。トップは丸棒を使い立体的デザインとし、お気に入りの絵画を投射。
FOOT CONTROL
フットポジションは膝のカチ上がったミッドハイとし、ポイントカバーには白のオリジナルパーツを選択する。
SEAT
シートにもオリジナルのWHALE & CO.製キング&クイーンをチョイス。サイドにはアクセントのパッチを付帯。
MUFFLER
マフラーには全体のフォルムと違和感なくフィットするスラッシュカットを。快活なサウンドがよく馴染む。
REAR END
フェンダーは後端を若干カチ上げてマウント。ホイールは18インチHリムで、GMA製キャリパーを付ける。
BUILDER’S VOICE
HOT SPICE CUSTOMS
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