HARLEY-DAVIDSON FXWG 1983
DRAG ON
ターニングポイントは
ビューエル製フロントエンド
軽快な印象を持つスポーティなストリートドラッガーである。埼玉県の老舗ドラッグオンによるカスタムマシンで、オーナーの要望をその都度聞いてカタチにしていったそうだ。しかし、ひとつのキッカケになったのはビューエルのフロントフォークを移植したときで、これを機に、今までもやがかかっていたカスタムの方向性はクリアになっていった。
「ある日オーナーがこれを持ってきて、『付けて欲しい』って言うわけです。でも、ビューエルの交換は今までやったことがなかったから大丈夫かなって。まあ、結果的にはなんてことなかったけど、初めての作業だからやはりそれなりにプレッシャーはありましたね」
大きな加工も必要とせず、すんなりと移植出来たビューエルのフロントエンド。存在感のあるボリューミーなボディに、創始者エリックビューエルのレーシングスピリットをも内包したフォークは、個性が強いだけにカスタムへの採用はハードルが高い。しかし、このストリートドラッガーの雰囲気に上手く調和させることで、パーツ単体で浮くことなく均整の取れたスタイリングを実現している。
また、ハンドル周りがインチではなくミリ仕様だったため、今後のことを考えてインチ化に着手。ハンドルクランプ部をボーリングで1インチ径に拡大している。この、ミリとインチが同居したマシンにおいてそのまま放置するのではなく、インチ側に統一するという作業に同店の細やかな配慮を見ることが出来る。
大きなポイントとなったのはフロントエンドだが、他にも作り手のスパイスが効いたディテイルは点在。まずタンクだが、素材に使ったのは意外にもHONDA JAZZの物である。たまたま店にあったというこのパーツを使い、マシンイメージにフィットした低く長いフォルムにまとめられた。とはいえ、厳密には使用した部位は曲線部分の一角のみで他はすべて鉄板でワンオフされている。
スイングアームは元の状態が悪くいつ溶接箇所から切れてもおかしくない状態だったため、そこを補修すると共に2インチ延長。続いて前後19/18インチホイールは、クオリティとコストパフォーマンスが良いと言うアルミ鍛造のサンダンス製エンケイ7スポークを装着した。
そして最後に、『走り』に関してである。1983年式FXWGがベースのマシンにはS&Sの4-5/8 86cu.in.(1400cc)ストローカーキットをインストールし、高速に振ったセッティングが出されている。「スプロケは前が24で後ろが45丁かな。ノーマルはFLHが22でFXが23、後ろが51だから結構攻めてる方だと思います。実際に乗ると速いですし」。
マシンのパフォーマンスを最大限に発揮させる足回りに、抜群の制動力を誇るPMキャリパーのセットアップ。『走る、止まる』のベーシックな部分を確実に押さえた上で独自のカラーを出したストリートドラッガーだ。
HARLEY-DAVIDSON FXWG 1983 DETAIL WORK
HANDLE
ドラッグバーではなく敢えてワンオフのロボハンである。エッジ部にビルダーのスキルの高さが現れている。
FRONT FORK
ビューエルのフロントフォークをそのまま移植。存在感あるセクションを全体のフォルムにうまく調和させた。
GAS TANK
元々はFRPのタンクが付いていた部位を鉄板で作り直し。素材にはホンダ・ジャズの一部が使われている。
MID CONTROL
ステーは荒い作りとされるが奥のリンケージやマウント部のカチッとした造形に同店のカラーが反映される。
SEAT COWL
アクセントになるシートカウル。スタンダードなフェンダーにはないオリジナリティが打ち出された。
MUFFLER
絶妙なマッチングを見せるホットドック製サイドワインダーを装着。ショックは英国のナイトロン製だ。
BUILDER’S VOICE
DRAG ON
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