H-D XLH883 1996
MOTORI GARAGE
『も』ではなく『が』の
一文字ちがいの開花宣言
「これはもう見たまんま。’50年代’60年代のアイアンスポーツを真似て作ってみようかなと(笑)。基本XLCHをイメージしたんですけど、XLHのバディシートが付いてたりするんでゴチャ混ぜなんですけどね」
エボリューションエンジンのXLH883を使い、ヴィンテージスタイルに製作した一台。とその前に、この車両の理解をより深めるためにも少しだけスポーツスターの歴史をおさらいしておきたい。
まず、初めてスポーツスターの名前を冠したモデルが誕生したのは1957年の『XL』が最初である。続いて翌年1958年にツーリング向けの『XLH』と競技用の『XLCH』がデビューを果たし、’59年には『XLCH』の公道仕様の販売が開始。そしてそのオフロード色の強いアップマフラーや軽快な外装パーツを装着した『XLCH』を土台にしてカスタムしたのが、今回のスポーツスターというわけだ。
特徴的なスカイブルーとホワイトのツートンカラーはもちろん踏襲され、前後フェンダーは共にショベル時代のパーツを選択。そしてシートにジュリアーニ製バディシートというXLCHではなくXLHに用いられていた物を使うがそれも違和感なくフィッティング。この辺の年代を合わせた応用の手際は、同店の御株(おかぶ)とするものだろう。
「これはオーダーされたものではなくて、たまたま在庫であったスポーツスターでちょっと悪ふざけしようかって(笑)。でもこの手のスタイルはいないことも無いけど、皆がやってるよりも少しリアルに作りたいみたいなところはありましたね(笑)」
実戦で研ぎ出した店主鳥居さんの勝手知ったるパーツチョイスもそうだが、そこに来て敢えての細工を加えることで、氏の言うリアルがググッと手元にたぐり寄せられている。例えばフロントフォークに沿ったブレーキライン。アイアン時代のケーブルを通すパイプに見えるようにそれっぽくつないだという箇所は、控え目ながらも全体の出来を増長。FLH用を加工したハンドルなどもじわりと後を引く脂の乗せかただ。
「気にした箇所ですか? 全体のバランスですかね、好きなんですよ(笑)。なんかオートバイらしい感じが良いんですよね」
こちらが尋ねたのは、チョッパー以外にもこういうのも好きなんですね、という質問。でも氏はそこで、「いえいえこういうのが好きなんですよ」と、『が』に力を入れて楽しげに笑う。どのカスタムを触らせても高めのアベレージを弾き出すモトリガレージのつぼみは、こんなところにあるようだ。
HARLEY-DAVIDSON XLH883 1996 DETAIL WORK
HANDLE
ほど良いアールでプルバックしたハンドルは、FLH用の幅を詰めて製作したもの。乗り易さが想像出来る形状。
FRONT FORK
フロントはXLH883純正の39φフォークをそのまま使用。フロントフェンダーにショベル時代のタイプを装着。
GAS TANK
883純正タンクをリペイント。XLCHを象徴するスカイブルーとホワイトのツートンカラーで鮮やかに描出する。
SEAT
エレガントなジュリアーニ製バディシートをセット。XLHに用いられたバディをXLCHに自然に落とし込む。
MUFFLER
マフラーはヤフオクで買ったというXLRレプリカ。慣例のアップではないダウンタイプの選択が全体に馴染む。
REAR END
リアにはアイアンスポーツ用レプリカフェンダーを付ける。ホイールは前後19/18共にRKのHリムとなる。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
住所 | 宮城県仙台市泉区松森字前沼52-1 |
---|---|
電話 | 022-342-8552 |
FAX | 022-342-8553 |
SHOP | MOTORI GARAGEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日、水曜日 |