BSA C11 1950s
STOOP MOTORCYCLES
手間隙かけたにも関わらず
ハンマーでドッカーン!
埼玉県戸田に店を構えるSTOOP MOTORCYCLES。現在は更新頻度が落ちているものの、『モーリー』こと店主の生森さんが綴る日々のブログは人気を集め、また、ライディングポジションに配慮したコンパクトなカスタムも注目されている。
そんなストゥープが今回のカスタムベースに選んだのは、50年代のBSA-C11。BSA(Birmingham Small Arms Trade Association)はかつて世界最大のバイクメーカーとして名を馳せたイギリスのブランドである。ハーレーを専門に扱うストゥープとしては意外な選択だが、聞けば「たまたま手に入ったから」とサッパリ。
とは言え、BSAといえばマニア垂涎の希少なバイク。偶然だとしても、敢えて通好みの車種をベースにするあたりがなんとも同店らしい。
ノーマルの状態でもかなりの存在感を放つBSA-C11だが、モーリーさんにとってはカッコ悪く微妙なものだった。なので、まずは外装を全てひっぺがすことからスタート。すると、見る見る自分好みの形になっていくバイクにテンションは徐々に上がっていく。
「最初は昔のホンダとかにあったメッキタンクを作りたかった。それで、綺麗に仕上げるか当時の雰囲気に近づけるかで迷ったんだけど、他のパーツの状態が良かったので元の外装ありきで当時のテイストに持っていくことにした」
今回のカスタムは前後19インチホイールという、彼が今までに触ったことのないベース車である。若干の不安を覚えるものの、手を動かし出したら自分のイメージする世界感がパッと広がり出す。まず、当時のオイルタンクをそのまま使いたかったので、それに合わせて全体の作業に着手した。
前後のタイヤを選び、車高をローダウン。そして、50年代の雰囲気を出すためにワンオフで製作した外装をエイジング処理。ちなみに、プロフェッショナルとしての発想やスキルはこのタンクに如実に現れている。
一枚の鉄板から丁寧に作ったピーナッツタンクのペイントを、埼玉県川口のLasers Paint野呂さんの元へ依頼。50年代当時の黒を混ぜて、エイジング処理で仕上がったそれには今度、ピンストライパーTETSUさんによりピンラインがドロウされた。ここまでの一連の流れに特別驚くべきポイントはない。ところが、ここからがモーリーさんならではの隠し味というか、大技の炸裂である。
ピンラインを引いてもらっている真横で、いきなりドカンッ! ハンマーを使いポッコリと跡が残った部分を鮮明に認識できるだろう。曰く、「だってあった方が良いでしょ?」。
まあ、その通りではあるけれども、2015年のホットロッドショー出展に向けて寝る間を惜しんで、業者をも巻き込んだ仕事の集大成としてのフィニッシュにはなかなかにアグレッシブだ。でも、それをシレっとやってのける感性を持つのがモーリーさんという人物であり、また、業者からもそれが良しとされ納得させられる人柄なのである。
BSA C11 1950s DETAIL WORK
FRONT FORK
ブラックのカバードが付いたフロント周り。雰囲気満点のヘッドライトはヴィンテージアイテムを装着。
HANDLE
ドッグボーンとドラッグバーの組み合わせで上手く50年代を演出。なんともオールドタイマーな装いだ。
ENGINE
アマルキャブの付く特徴的なストックエンジンの造形。排気量は500ccでタンクのエンブレムは当時物である。
SEAT
シートはスカンクが担当し、ペーパーを当ててエイジング処理がされる。ショップはストゥープの真横だ。
REAR END
パッと見は当時物だと錯覚してしまう見事なクオリティ。マウントタブやマイナスネジなど全てに隙が無い。
BUILDER’S VOICE
STOOP MOTORCYCLES
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