ヴィダモーターサイクル VIDA MOTORCYCLE 大久保卓也 Takuya Okuboのインタビュー

VIDA MOTORCYCLE

大久保卓也 Takuya Okubo

September 6th, 2018

流れるようなボディシェイプが本領のカスタムマシンで耳目を集め、これまで全国有数のカスタムショーにおいて数多くの表彰台に立ってきた本格派である。大久保卓也。2006年に同店を立ち上げ、現在は博多と遠賀の2店舗を切り回す希代のビルダーだ。

地元北九州で10代からバイクに目覚め、高校生活を共にしたドラッグスターからハーレーへと興味の対象は自然とシフト。当時目の当たりにしたハーレーの音に衝撃を受け、そこから一気に『熱』は沸騰した。

北九州から神戸のTOYOTA整備士専門学校へ学びに出て、そこで初めてのハーレーとなる’84年式のアイアンスポーツXLXを入手。以来、ハーレー一色に染まった暮らしを突き進み、2年の課程を終えた後に地元へ帰郷。北九州TOYOTAの次に選んだ転職先は、大分県のカスタム屋だった。

そして、そこで一台すべてを任せられるようになり、都合4年身を置いた末にヴィダモーターサイクルを始動。輝かしい足跡は、その瞬間からシンクロし出す。

ヴィダモーターサイクル VIDA MOTORCYCLE 大久保卓也 Takuya Okuboのインタビュー

やっぱりあの音に
やられてしまった

ー ではまず、今の大久保さんの原点から聞かせてください。そもそもバイクに興味を持ったのは?
は、やっぱりハーレーがカッコ良いなっていうのと、あとは親戚がバイク屋さんだったんでバイクを見る機会が小さい頃からあったと。そういう感じだったと思います。
ー そうすると早い段階から?
中学ぐらいからですね。普通にもうスクーターから始まり、あとはヤマハのドラッグスターをその親戚の叔父から買って。でも最初はSRを買うかドラッグスターを買うか悩んでて、何故か4発にはいかなかったですね(笑)。それでもう高校の時にハーレーに乗りたいっていうのはありました。
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ー ドラッグスターだと次は当然ハーレーですよね。
やっぱりあの音ですね。その、高校生ながらに夜バーとかにバイクで集まってたんです、ウエスタンなバーとかに行ったりして(笑)。そこにハーレーが2、3台来た時のあの音にやられてしまって。
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19のときは
神戸三宮の全盛期

ー ハーレーを手にしたのはいつ頃です?
19。神戸の専門学校のときですね。TOYOTAの自動車整備士の学校に2年間行っててそこでXLX、’84年のアイアンスポーツを(笑)。
ー 19でXLX!? ずいぶん渋いチョイスですね。
それはストリートスタイルというか、やっぱり神戸三宮とか高架下全盛期だったんで。その時はナイスエース(NICE! MOTORCYCLE、ACE MOTORCYCLE)とか、あとヴィンテージヘルメットとかもすごい人気の時代だった。
ー 専門を卒業してからは?
北九州のTOYOTAでメカニックとして働いてました。そこは3年間ぐらい。その後が大分のサティスファクションで4年ぐらいですかね。
ー そしてその後にヴィダという流れですよね?
そうです。
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最初はきつかった
機械がないですから

ー 元々自分でショップをやりたいっていうのはあったんですか?
なかったですね。キッカケは大分にいた時に、もうそのバイクを売ってアメリカに行きたいってボスに相談したんです。そしたらまあ良いよみたいな感じだったんですね。でもいざその後に、「何ヶ月後かに行きたいです」と伝えたところダメって言われて。
ー うそっ(笑)! 良いって言ってたのに。
そうそう(笑)。それからまあちょっとごちゃごちゃって。あとはそこが、好きなバイクを作るなら自分で仕事を取って来いというスタンスだったんです。注文を受けたバイクは最初から最後まで全部できる流れだった。それが福岡のお客さんというか友だちとか仲間内がどんどん増えてきたんですよ。
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ー しっかり仕事を取って来てたんですね。
でも、何かあれば自分がやっぱり福岡や北九州まで引き取りに行く。逆にお客さんにも大分まで来てもらうというのがずーっとあったんで、まあ少ない額ですけどバイクを売ってお金も持ってたんで、じゃあ辞めて地元で独立しようと。そんな感じでしたね。
ー オープンしたのは?
2006年ですかね。最初は大変でしたよ、ボール盤とグラインダーと100ボルトの溶接機しか持ってなかったんで(笑)。でまあ、とりあえず溶接機だけ欲しいってなって溶接機だけ買って、ですかね。最初はもうそれで(笑)。
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ー なんとかなるものです(笑)?
なんとかしましたね(笑)。それで一台目のチョッパーを作って、注文が入るたびに工作機械を買って、先行投資してですかね。
ー カスタムショップでそれしかないって、今だと滅多に聞かないです。
ですね。多分みんな最初から全部揃えるとかしてますよね。
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先輩のひと声で
一気に拓けた

ー では次。VIDAを立ち上げて、博多に2号店のDOSをオープンした経緯を教えてもらえます?
もうずーっと、従業員がいた時から博多にお店を出したいと思ってた。でも結局は従業員が抜けて出せず仕舞いだったんですけど、まあほんと片山さん(※世話になっている先輩)のおかげじゃないですけど、ひと声かけてくれたんです。
ー 一緒にと?
鈑金工場の半分借りんかと。「俺はその半分を自分のガレージにするから、残りの半分でお店をしたらどう?」って。もうそれなら是非話に乗らせてくださいと。勢いだけでしたね。
ー 昔からやりたいっていうのもあったし。
そうですね。
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原点は
ユーロスタイル

ー 大久保さんの作るバイクは今でこそラバーマウント系のボルトオンで対応できるカスタムが多いですけど、本流はやっぱり徹底的に作り込んだチョッパーがVIDAのスタイルだと思うんです。その辺のイメージって何かあるんですか?
うーん……、流線形というんですか。横から見ても上から見ても流れるようなラインが好きだった。というか、そういう風にしてしまっている自分がいるというのはありますけど。
ー 無意識的なものもあると。では、何かひらめきを受けたものは? 例えばヨーロッパ車のセクシーなボディラインに影響されたとか。
それはやっぱりユーロスタイルですか。要はタンクからフェンダーと、フレームまでが一体のバイクってどうやって作ってるんだろうというのから始まって、見様見真似で独学でやってみた。そしたらやっぱり完成した時に、どの角度から見てもカッコ良く出来たなと。
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ー チャレンジしてみたら上手くいったと。
お客さんはもちろんですけど、自己満足もかなり高かったんです。当然苦労もあって、やっぱりひと手間ふた手間以上のことをしないと流線形の一体型というのは出せないんだけど、そこは満足するためだけにやってる感はありましたね。
ー なるほど。ユーロスタイルなんですね。
はい。原点は。でも日本人の体形に合わせるのと、オーナーが乗らないと似合わない。僕が乗っても似合わない。オーナーだけがピシャッとはまるというのを、特にロングフォークやフレームワークの時に一番心がけてます。心身一体じゃないですけど。
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新モデルへの抵抗は
一切ないですよ(笑)

ー 一方で、ここ数年はダイナ系のラバーマウントモデルや最新車種に注力されてます。もうどれぐらいですか?
5年ぐらいになりますね。最初に自分がFXRに乗り出してからです。
ー クラブスタイルという言葉は使いたくないですけど、いわゆるそのはしり、先陣を切ったわけじゃないですか。なんでまたそっちに?
単純に自分がバイクに乗りたくなったっていう(笑)。
ー おおっ(笑)! 乗るんだったらそのスタイルで!?
ではなく、ツーリングで20台近い大所帯で走ってた頃があった。で、そういう時は先頭も走るし、何かトラブルがあったりぐずってるバイクがいたらそこに行かないといけない。でもそこからまた先頭にも行かないといけないというので、旧車だと時間がかかり過ぎるから思いっきり回せるやつに乗ろうと。
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ー 説得力があります。
あとは何台も待たせてるお客さんがいたので、自分のために手の込んだカスタムをしたくなかった。お客さんに悪いという気持ちだけですね。それでまあボルトオンで、わりかしイージーにできて(笑)。
ー なるほど。
そしたら思いっきりはまりこんでしまったと(笑)。
ー しかも本格的に(笑)。魅力はどの辺です? 当然ハイスピードで移動出来るというのはあるでしょうけど。
あとはハーレーとしてのではなく、オートバイとしての性能という部分ですかね。エンジン、チューニング、足周りのセッティング、疲れないポジションであったりとか、そういったパーツ選びが出来る。
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ー そうすると自然とこういったミルウォーキーエイトのような新モデルも扱いたくなると。
ですね。
ー チョッパー屋では珍しいほど新モデルに対する抵抗がないですよね。
一切ないですね(笑)。なので、例えばいま旧車のオーダーでチョッパーを作ってくれと頼まれたら間違いなくS&Sのエンジンを使うかな。S&Sのナックルだったりパンだったりショベルっていうのを使うかなと。
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吸排気と乗りやすさ
いじるのはその辺です

ー 最新車種のミルウォーキーエイトについてですけど、この辺は力を入れてる部分ですよね。
そうですね。
ー 最新モデルのチューニングってどの辺に手を加えるんです?
まずはカム交換といったところですかね。Tマンパフォーマンスというエンジンメーカーのカムがチューニング屋さんとデータを共有するなかでも今のところ一番乗りやすい。
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ー 他にはどの辺をいじるんです? マフラー?
吸排気というところでエアクリーナー、マフラーですね。音と乗りやすさという部分。今回のミルウォーキーはそういう仕上がりになってる。
ー ではインジェクションチューンはどうしてるんですか?
ウチはもう専門のショップにお願いしてます。ノーマルコンピューターを使ってシャシダイで回して、もう全部書き換え。フラッシュチューニングです。
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すごいって言葉と
自己満足なんですよ

ー ちなみに。大久保さんの仕事のモチベーションってどこから来てるんです? ラバーマウント系だとそうでもないだろうけど、作り込んだチョッパーを作ってる時なんて気が滅入ることもきっとあるじゃないですか?
なんでしょうね……すでに最初から心折れてる(笑)、かな(笑)。うーん、作るたびに……多分もう自己満足なんですよ。やるほどにカッコ良くなってくるんで……あとはもう何も言葉が出なくなる瞬間ですか……「はあ、すげえ」というのを聞くと、おーしまだやってやろうかっていう(笑)。なんかそれを聞くたびにモチベーションが上がってくるかな。
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一番良い状態で
ストレスなく走らせたい

ー では、そろそろ締めに向かって(笑)。大久保さんにとってカスタムバイクってなんですか?
うーん……(※長い思考の間)。
ー 10代からバイクにのめり込んで、カスタムバイクを作る人になって、それが今や全国で知られた存在になって。何がそんなに大久保さんを熱狂させるんですかね?
……やっぱこう……世界にひとつのものが作れるっていう。そこで、そのために僕を選んでくれて、ただひたすら待ってくれる。やっぱりお客さんがいるからですよね。その人のためにじゃないですけど。
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ー カスタムバイクは、待ってくれるお客さんへのありったけのありがとうを形にしたものだと。
(笑)。まあうまく言えないですけどね。
ー 最後に。今後の話を聞かせてもらえますか?
いま自分の中であるのが、高年式車を本当にストレスなく走れるようにすること。ラバーマウントで長距離をどれだけストレスなく走れるか、不安なく走れるか。その中で一番良い状態を見付けていきたい。チューンをやっていきたいなと。ミルウォーキーにしてもツインカムにしてもですね。

VIDA MOTORCYCLE

ヴィダモーターサイクルのショップ外観
住所 福岡県遠賀郡芦屋町芦屋1148-3(Google MAPを開く
電話 093-223-0701
FAX 093-223-0704
SHOP VIDA MOTORCYCLEのショップ紹介
営業時間 9:00 ~ 18:00
定休日 第3日曜日