ハーレー固有のクラッチの重さを圧倒的なパフォーマンスで軽減する、不朽の名作『VPクラッチ(Variable Pressure Clutch)』。すでに発売から20年以上が経つ今も尚、その名声に輪がかかり、国内はおろか世界中のバイク乗りの間で愛用され続けるクオリティパーツである。
これまで、クラッチを軽くするパーツは他社からもリリースされているが、T.P.P.(TAK’S PERFORMANCE PARTS)のVPクラッチはそもそもの原理からして違う。いわば他社製が本来のクラッチ性能を犠牲にした上で軽くするのに反して、VPクラッチはスペックを十全に担保した上でアップグレード。使えば分かる両者の差は歴然である。
もはやどんなユーザーをも唸らすメイドインジャパンのマスターピースを、今一度後世に伝えるべくその無双な実力にフォーカスしたい。
愛媛県伊予郡。県内ほぼ中央に位置したその風薫る場で、世界に名だたるT.P.P.(TAK’S PERFORMANCE PARTS)の『VPクラッチ(Variable Pressure Clutch)』は開発製造されている。
代表の重松さんはドラッグレーサーのパイロットとしてあまりにも有名で、ハーレーの最高位クラス、トップフューエルでワールドレコードのタイトルを保持した正真正銘のスピードスターである。
T.P.P.の『VPクラッチ』は最速を競い合うリアルな現場で培われたノウハウと経験値を惜しみなく投下して産み落とされた、無二なるクオリティパーツだ。
そのため、他社製品と比べて性能面での差異が顕著なのはそうしたバックボーンによるところが大きい。また、製造工程を日本国内に集約し、自らの手を通じた後にセルアウトするという徹底した物作りの姿勢を貫いている。
世界最速のドラッグレーサーパイロットによるこのパーツはつまり、世界最速のメカニズムを昇華させたパーツと同義でもある。
その、誇張抜きに命を賭した世界でトライ&エラーを繰り返してきた実績をデイリーユースに落とし込み、そこに留まることなく常にアップデイトを重ね、結果として他を寄せ付けない完成度を誇るのは当然のことだろう。
さかのぼること約20年前。当時のハーレーのクラッチが重かったのは周知の通りだが、それを払拭しようと幾多の業者が改善パーツの実装に取り組んでいたのもまた事実。
そこでT.P.P.は『VPクラッチ』の開発に成功、他社とは構造的に明らかに違うのを美点とした。それが、ドラッグレーサーのクラッチ技術を応用させたもので、クラッチに付けたウエイトの遠心力を利用するものだった。
他社がテコの原理を使いクラッチの切れる量を短くして軽減するのに対し、T.P.P.はウエイトの遠心力で本質的にクラッチワークを低減。最も使用頻度の多い低回転域では約55%もの減少を実現させた。
結局、他社製品は完全にクラッチを切らないと動力を遮断できないという大きな課題を抱えていたが、『VPクラッチ』は軽く、ノーマル同様の切れ味を保持していた時点で既に勝負はあった。
信号のある市街地走行を想定した、クラッチ操作の頻度が高い2000~3000回転ではノーマルより最大約55%軽く、指一本の操作でもなんら問題はない。逆に高回転域では約40%の圧力が付加される。
軽さと性能の両翼を併せ持つパーツとして広く市民権を得た『VPクラッチ』だが、その操作感が特筆ものだ。ノーマル同様の感触でスパッと軽く切れるタッチは一度使えば病みつき必至である。
現在、カワサキZ用とEVO以降のハーレー用をほぼ全てラインナップ。そしてそれらはメイドインジャパンの士魂のもと、重松さん自らがNCマシンをオペレーション。腕っこきの職人と肩を並べ最終検品に至るまで携わり、一点ずつ丁寧に息を吹きこんでゆく。
発売から20年以上が経つ今も色あせることのないマスターピース。群を抜いた光度を放つ一品に、世界中のファンが酔いしれている。
他社製品と決定的に違うのが、遠心力を利用したパーツだということ。そのため、クラッチの切れる量を犠牲にして軽くする他品よりも当然切れは良く、操作時の違和感も全くない。
ボディに付くウエイトが『要(かなめ)』。VPクラッチが回転し、遠心力でウエイトは外側に向かって開こうとする。その働きによりクラッチを押さえ込んでいくが、軽くなるメカニズムは実はそこではない。
ダイヤフラムスプリングが軽減の正体だ。VPクラッチの物はノーマルよりも押さえ面が内側に設定。こうすることでテコの原理が働き、より弱い力で板バネを押し下げることが可能に。
一方、他社製がクラッチの切れる量を短くして(全部切れていない)軽くするのに対して、VPクラッチはノーマルと切れる量が同じである。そのためスパッと軽く痛快なクラッチワークを実現する。
エンジン回転数と荷重の関係である。ピンク(VP+ダイヤフラム荷重)とオレンジ(ダイヤフラム+遠心力)がVPクラッチの作用を及ぼすグラフで、ピンクは回転が上がってもそのまま。
一方、オレンジは回転が上がるほどに荷重も増加。必要な時に必要な圧力をクラッチに与えるためよく使う回転域ではクラッチ操作は軽く、高速域で重くという特性が数値化される。
T.P.P.の運営と並行して、『クレイジータック』の通称でドラッグレース活動にも長年専心。最も由緒ある米国のドラッグレース団体AHDRAのトップフューエルクラスで2017年にワールドレコードを樹立、現在もその記録は破られていない。
究極のスピードの世界で研ぎ澄ましてきた経験を商品開発へと活かし、無二なるプロダクトを産出している。
「ドラッグレースのクラッチの技術を応用して作ってみたかったんです。もう20年以上前ですけどね。特徴は端的にいうと、クラッチの操作感、握り心地。本当にノーマルと同じ感触で軽い。
低回転で軽く、高回転では強い。気持ちいいですよね。一度取り付けるともうノーマルには戻れないというところだと思います(笑)」
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