デビューを飾るやいなや、瞬く間に250ccクラスの人気車両として市民権を得た『サンダーモーターサイクルズ』。カスタムテイスト溢れたスタイリングで多くのアメリカンファンの心を射抜く、いま小排気量車のなかで最もエモーショナルなバイクである。
そのサンダーが今回、3月28日から3日間に渡り開催された国内最大規模のバイクイベント、『東京モーターサイクルショー』に初出展。並みいる大手バイクメーカーとは一線を画した『和』のテイストでブースを統一し、どの出展メーカーともかぶらない圧倒的な世界観を披露した。
これから世界の舞台を視野に、すでに助走段階に入った『サンダーモーターサイクルズ』。今回の出展を皮切りにして、スピードをのせ、大きな一歩を踏み切ろうとしている。
(写真/山田健太郎)
四方を有名メーカーで埋め尽くされた東京モーターサイクルショーの会場内。国内4大メーカーや海外勢など、誰もが知ったビッグネームが立ち並ぶそこに、毛並みの違うメーカーがひとつ異彩を放っていた。
サンダーモーターサイクルズ。もちろん大手他社とは規模感こそ違えど、『和』を全面に押し出したブース展開で振るった世界観を鼓吹し、来場者からの視線を一手に集めていた。
用意周到に作り込まれた数ある出展メーカーの中でも埋没しないどころか、まるで光を放つかの存在感をあらわとしたサンダーだが、やはりそこには『和』の色香が奏功していた。
これは、日本国内のみならず世界のマーケットを視野にしたアプローチだと、代表の野呂さんは言う。カスタムバイクショーではなく、東京モーターサイクルショーへの初出展もそのためだ。
「もっと世間に知ってもらうためにはマスの大きいところに出展しないといけない。ここだと今までウチが出していたカスタムバイクショーとは比較にならないぐらいの人がいるんですよね」
より多くの人の目に触れさせるにはどうするべきか。カスタムバイクショーへの出展を決してないがしろにはせず、それにプラスして、いまメーカーとして出来うる最善策を選択している。
和で彩られた空間は、これから海外へと活動の場を広げるための戦略的アウトラインだ。今回の出展にあたっては明確に世界を意識し、世界の人に知ってもらうためにはどうするかに焦点が絞られた。
「メディアもそうだけど海外からやって来てる人も大勢いる。その人たちにいかにサンダーを美しく、魅力的に伝えられるか。だから少し派手な演出は絶対必要だったんですよね」
東京モーターサイクルショーをハブとした海外へのインフォメーション。国内での評判が根付いたタイミングでの攻勢は当然計算されたものだが、それを後押しするのは熱量に他ならない。
いちメーカーの大志への軌跡を追うことは、同じ時代に生きる人間だけに許された特権である。でも、いつの時代もそれを可能とするのは当事者の熱量や情熱といった照れくさいほど純粋な想いだ。
そして、サンダーモーターサイクルズは東京浅草にショールームをオープンさせる。インバウンドで沸くこの地を選んだのもすべて、これから広がるまばゆい景色を見据えてのものだ。
「上野と浅草の間を歩いている観光客はすごい多い。そういう人たちが足を運んでくれることを考えているのもそうだし、あとはやっぱり浅草というネームバリューの強さですよね」
興味を引かせるための店舗設計にも妥協はない。近辺で『和』をテーマにした雰囲気の良い店がなかったこともあって、得意とする無二なる世界観の構築を相乗効果として、ブランド力に磨きをかけてゆく。
また、そこにコーヒーが飲めるスペースも設け、あらゆる観光客が憩える環境もととのえる。彼らが母国に帰ったときにちょっとでもここの話が上がればそれでいいんだと、野呂さんは笑う。
一事が万事そうである。これから世界のバイク市場へと打って出るサンダーモーターサイクルズだが、その意向を強力に引きたてるのは何より、バイク単体の素材の強さだ。
スタイリングや排気量、乗りやすさといった美点は多岐に渡り、結果として一部のコア層にだけ受け入れられる車両ではなく、女性から熟年ライダーまでをも魅了してきた事実がこの真価を物語っている。
東京モーターサイクルショーに突如として降り注がれた、妖なる日本舞踊との饗宴。それは、このバイクが日本発信のメーカーだという矜持を、自国の文化でもって高らかに誇示したものだ。
「いろんな人の目に触れて、いろんな人が乗って、自然とみんなが知ってるメーカーになっている。これから世界展開していくというのはまさにそういうことなんだと思います」
長年カスタムショップ『車坂下モトサイクル』を運営する一方で、サンダーモーターサイクルズの国内総代理店の代表を務め、製作工場や販売部門、ユーザー、すべてと現場で直に関わっている。
「メーカーのトップとしてこれだけいろんな所とダイレクトにつながっている人はいないと思う。でもやっぱり、膝と膝を突き合わせたこの距離感が大切なんですよね」
まだメーカーの規模感としてそれが出来るうちは限界まで自分の体を動かしたいと語る。また、そこに熱量と、問題が起きたときの即座の処理があれば間違いなく事業は伸びていくと自信を持つ。
「工場で問題があればスタッフではなく自分が行く。そんな人はいないだろうけどそれが重要な時期だと思う。サンダーが大きくなればそうも出来なくなるから、その前に基盤を作っておきたいんですよね」
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