国内指折りのハーレーパーツのディストリビューターである『スリーマイルズTC(テーシー)』。1991年の創業から今年で30周年を迎える年輪を刻んだカンパニーだが、その発足はカスタムショップからである。
当時、新潟市内のイチカスタム屋として産声を上げ、その後、業者を対象にしたパーツ販売へとシフト。元々がカスタム屋出身なだけに、在庫するパーツはメカニックの立場に立った物で、その痒い所に手が届いたスタンスでプロショップからの信頼を勝ち得てきた。
また、男女問わずにスタッフのほとんどがハーレー乗りのため意思疎通が早く、『好き』を原点に仕事をしているため業者側とのバイクへの想いもぴたりと重なる。『とにかくバイクが好きであること』。そんな大切にしていることが明確なカンパニーの30周年の節目に、代表の木原さんを訪ねた。
1991年に新潟市内にカスタムショップを開き、その後、当時より携わっていたハーレーパーツの輸入販売業に専念。今ほど海外からの商品仕入れが一般的でない時代から単独でルートを開拓していき、着実に向こうとの信頼関係を築いてきたパーツディストリビューターである。
ほぼスタッフの全員がハーレー乗りという『スリーマイルズTC』だが、その代表を務める木原さんは今も昔も、ただの部品販売ではなく、同じ好きな物を販売しているという意識を持って仕事をしていると言う。
「ただ商材を流通させるのではなくて、『これは良いぞ』という物を販売する。もちろん逆に、これはあんまり良くないというのを正直に知らせたりとか、自分たちが持ってる感覚であったり、想像をしながら好きな物を販売していきたいですね」
販売するプロとして商品の知識を得ること。そしてそこから真っすぐに、自分たちが納得したパーツを届けること。このシンプルだがきわめて重要な指針を起点にして、日々全国のプロショップと血の通ったコミュニケーションを取っている。
取り扱うハーレーパーツは、現行ミルウォーキーエイトから100年近く前の旧車までと盤石。暖簾が古いだけに旧車系の依頼が多く、自然とそのイメージが強いものの、蓋を開ければ正規ディーラー出身のスタッフも在籍するなど最新モデルにも明るい。
「需要の部分で古い車両用の部品を持ってる確率は高いです。それはウチが古くからやってるというのもありますけど、新しい車両用のパーツも勿論取り組んでます。古い物だけが強みってわけではないですから」
欲しい時に欲しい物がある。プロショップが思い立った時につつがなく応えてくれるのが美点のひとつ。現場のメカニックがなかったら困るであろう物をあらかじめ在庫しておけるのは、やはりスタッフがハーレー乗りであることと、起源のカスタム屋のDNAから来ているようだ。
「注文を受けてからではどんなに早くても4、5日はかかる。でも修理パーツに関しては明日にでもすぐ欲しいという場面が多数あると思うので、そういう物は普段から置くようにしてます」
プロショップに寄り添った営みの先には、エンドユーザーの存在がある。乗る人がいなければ成り立たないが、逆に言えば、ショップがなければユーザーも育たない。そこには、ショップがいて初めて広められる部分もあると話す。
「直接販売もしますけど、出来ればバイク屋さんに行って欲しいというのが自分たちの願いです」。洋服や食べ物とは違い買う人にそれなりの知識が求められる商材だからこそプロを頼って欲しい。30年という月日を一線で歩んできたからこそ得た、大局的な見地である。
国内のドラッグレース団体V.D.A.(V-Twin Drag Asocciation)への協賛を実施。全国のカスタムショップの有志が集い結成された同団体の主旨に賛同して、裏方に回りイベントをサポートしている。
スリーマイルズTCスタッフのハーレー好きは先に触れたが、その枠だけに収まらず、NOSを積んだ車両を手掛けたり、インジェクション車のターボ化にチャレンジするなど、一歩踏み込んだ好きさ加減がV.D.A.のコアな世界観とリンクする。
「最初はいろいろな所から話があって、ウチの取引先の業者さんからこういうドラッグレースがあって面白いよって。あとは新潟市内のノーズマシンさんが東京のメイズモーターサイクルさんと一緒にやられてたんでそれが大きいですかね」
元々付き合いのあった地元ショップからの誘いと内容に同調して協賛することになったそうだ。現在もメインスポンサーに顔を並べている。
北陸地方を代表するバイカーズミーティングの『米米バイカーズパラダイス』をスタートさせたのがスリーマイルズTCである。純粋にバイク乗りの遊びの場として始まったイベントは今では、オリジナリティ溢れたチョッパーが居並ぶ際立ったミーティングへと成長。
だいぶ前より運営側を離れるが、当初の澄んだ動機は地元に根付き、毎年多くのバイク乗りがその日を待ち侘びている。
「なぜスリーマイルズTCを使うのか?」。そんな素朴な疑問を、付き合いの長いプロショップ3軒に尋ねてみた。東京の『リトルウイングエンジニアリング』、大阪『シックスモーターサイクル』、福岡『ジーモーターサイクルズ』と、それぞれコメントは違うものの本質的な部分は近似しているようだ。
「当時からのお付き合いというのがあるかもしれないです。仕入れのプライスうんぬんよりは安心感。信頼関係というのがそこにあります。きちっと対応してくれるんですよ。ほんとに安心安全なんですよね」
修理をメインに仕事をしているからこそ部品には人一倍気を遣っている。今は新品でも信用できないご時世だけど、その辺の部品屋としての責任感もあって売りっぱなしにしないところが良いんですよ、と語る。(LITTLE WING ENGINEERING tel_03-6303-8009)
「今は木原が社長になって、なんかウチらが注文するもんを見て在庫を決めてくれてんのかなってぐらい持ってるもんがニーズにあってる。俺前に言ったもん、5とか10とか注文するもんは置いとけやって(笑)」
相変わらず豪快に話す西村さんはしかし、以前に知り合いが入社した他の部品屋に大浮気したこともあったそうだ。でもそこが無くなって「ゴメンまた戻して(爆)」と、若干の負い目もあるんだと楽し気に笑い飛ばす。(SHIX MOTORCYCLES tel_072-924-7540)
「V-TWINパーツのストック量かな。他も取り寄せ出来るけど、スリーマイルズはパソコン叩けばすぐ分かるしすぐ来ますよね。内燃機系とかイースタンのパーツとか。ほんとちょっとした物もありますから。一番良いのはフライホイールワッシャーかな」
特に種類があって精度の高い真鍮製のシムが良いそうだ。また、一つひとつカタログの番号を伝えなくても通じるところがメリットで、気付けばショップを始めてから長く利用していると言う。(GEE MOTORCYCLES tel_092-633-2933)
カンパニー | THREE MILES TC |
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住所 | 新潟県新潟市西区平島1-6-2 |
電話/FAX | 025-231-2811/025-230-5297 |
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