古き良きアメリカの原風景がほのかに透けてのぞくヴィンテージクロージング。それをそのまま焼き増すのではなく、都会的なエッセンスをもって再構築したブランドが『トロフィークロージング』である。
商品自体のクオリティはもとより、代表江川さんのからりと晴れ渡った人柄もあって同ブランドに心酔するファンは後を絶たず、バイク乗りから一般ファッションフリークまで、本質を見極めた層による裾野の広さも大きなアドバンテージだ。
そして2020年4月4日。創業15年目にして初の二号店を石川県金沢市にオープン。今まで以上に世界を広げ、自分の焦がれた物作りを探求し続ける氏に、今回は趣向を変えて『洋服』をテーマに話をふってみた。
(写真/山田健太郎)
数あるアパレルブランドがひしめく中、埋もれることなく、確かな存在感をもって発光し続ける『トロフィークロージング』。その光彩は立ち上げから15年が経ついま、年々強い輝度をもって自身の立ち位置を照らし出している。
時代の流れにまどわされず、ファンの心をつかんで離さない愚直なまでの物作り。しかしコストや手間暇をかけたその一義こそが同ブランドの強さであり、江川さんの信じるところ。何より、洋服への愛情が全身から溢れている。
「スイングトップはガスワーカージャケットって言って形はマクレガーのドリズラー型。まあその名の通りガソリンスタンドのユニフォーム的なやつ。昔はよくやってたけど最近は刺繍を入れた物はあまり出してなかったんだよね」
実に楽し気で、軽やかだ。生業の話とあれば誰もがそうであるように、声のトーンは自然と一段上がる。でも氏の場合そこにプラスして、どうしようも出来ないほどの好きさ加減が見え隠れする。それは、本当に心にかなったものを見付けた人の顔。
「履いてるパンツもミリタリー。これはヘリンボーンの硫化染め(りゅうかぞめ)というので作ってて、結構履き込んでるからだいぶ色も抜けてる。この時期(※6月下旬)はデニムよりもわりとこういう薄手のミリタリーパンツを履くことが多いかな」
ステアハイドの牛革を使ったエンジニアブーツもトロフィークロージング製で、元々は黒色だったのが履き込んでいく内に今の茶色になったそうだ。そしてコットンリネンのベレー帽。こちらは毎シーズン出しているアイテムだと言う。
「前までは友達のブランドや古着を着ることも多かったけど、今は基本自社ブランドをとことん着る(笑)。あと無地の服を着がちなんだけど柄物もロゴ物も着てる。なんだかいろいろ回り回ってそういう風に戻って来た感じかな」
自分で作った服を着続ける。これほど説得力のあるメッセージもない。そこには自分の服が好きとか嫌いといった感情ではなく、真ん中にどしりと据え置いた一本の太い芯があるだけ。長い時間をかけてたどり着いた、ある種悟りの境地。
「普段のコーディネートは、出勤するのにクルマかバイクかで変わるかな。朝起きて天気を見て、バイクで行けそうだったらとりあえずブーツを選んで、汚れても良いような格好をして。あとはまあ季節によって防寒対策をするぐらいだよ」
ただの洋服好きなんかではなく、そこにゴリッとしたバイク乗りの血が脈打つ。愛車の’47年式インディアンチーフを駆って、東京から広島や金沢を何度も走り抜けるアグレッシブ。同ブランドの服が風に馴染むほど躍動するのはきっとそのためだろう。
ミリタリーとワーク、そしてデニムに代表される定番カジュアル。この3つを柱に、新たな試みを取り入れ物作りを進める『トロフィークロージング』。進化し続けるヴィンテージクロージングの先鋒は、常にやわらかに視界を広げ、大きく呼吸し続ける。
ベレー帽 | Russel Basque ¥7,500 +tax |
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ボーダーT | Wide Border Tee ¥9,500 +tax |
ジャケット | Gas Worker Jacket ¥35,000 +tax |
ミリタリーパンツ | HBT Utility Pants ¥24,000 +tax |
ブーツ | Arrow Engineer Boots ¥82,000 +tax |
チェーン | 【LYNCH SILVERSMITH】Belt Strap ¥38,000 +tax x Twist (S) ¥97,200 +tax x Joint ¥36,000 +tax ※カスタムオーダー品 |
ウォレット | 【LYNCH SILVERSMITH】Biker Wallet ¥86,000 +tax |
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