気骨あるワークウェアメーカーとして支持を得る『BLUCO』が本拠を置く、千葉県いすみ市はサーフィンのメッカとして知られている。ハイシーズンにもなると大小様々なサーフコンテストが行われ、腕に覚えのあるサーファーたちが気勢を上げる。
遊ぶことに貪欲なBLUCOのスタッフたちも当然、波とシンクロする桃源のトリコで、そうした背景から2017年にカスタムウェットスーツを手掛ける『FRANK』というサブブランドを設立している。
そして昨年、FRANKはサーフィンを軸として日常の心地良さに焦点を当てたライフスタイルクロージングを展開するFRANK.manufacturingへと発展。自身も生粋のサーファーであるデザイナーの伊東研二さんに話を聞いた。
(写真/山田健太郎 文/馬場啓介)
「気さくな、飾り立てのない、率直な」 ― フランクという言葉が含むニュアンスはどれも伊東さんの人柄に当てはまる。闊達さの伝わる話し振りで、朗らかに良く笑う。身を置くコミュニティでは先輩からも後輩からも愛されているだろうことは想像に難くない。
今でこそサーフィンを中心に据えた生活を送る伊東さんだが、始めたのは高校に通っていた頃と意外にも遅咲きだ。しかし一度のめり込むやその純度と熱量は凄まじく、ローカルコンテストで優勝を飾り、プロのトライアルを受けるほどに心血を注いだ。
「横乗り系はだいたい経験してきましたが、サーフィンが一番難しい。同じ波はないので反復練習ができないんです。思い通りにはいかない、だからこそ楽しい。上手く波をメイクできたときの気持ち良さは他の何にも代えられません」
眼前の太平洋に身も心もどっぷりと浸かった日々を送っていた伊東さんだが、一台のアイアンスポーツに胸を射抜かれヴィンテージバイクの大海(と言うよりは泥沼だろうか)にも身を投じることとなる。
「初めはBLUCOのインタースタイル(※横乗り系ブランドの合同展示会)でディスプレイとして借りたんです。そのときに一目惚れしました。しばらく経ってオーナーさんが手放すことにしたらしいと耳にしたので、迷いはなかったです(笑)」
かくして2年程前に手に入れた地上での相棒はスクランブラースタイルの’65年式XLCH。「キックのときに圧縮が抜けて膝を折ったこともありますし、遠出をする度にどこか壊れますけど、乗るのを辞めようと思ったことはないですね」と快活に笑い飛ばす。
自分の意のままにならないことに消沈したり腹を立てたりせず、それすらも楽しみ尽くそうとする寛容でポジティブな心意気はきっと、サーフィンを通して身に付けたものだろう。人智の届かぬ自然と向き合う人たちには、往々にしてそうした気分が宿っている。
ボードカルチャーをバックボーンとするFRANKだが、「All Best Comfort」をコンセプトに掲げた着心地の良いウェアはバイク乗りの波長にも寄り添う。リラックスして路上を滑走しているときに頬を撫でる風は、海の上のそれと何ら変わりはない。
一例を挙げれば、透湿防風防水の高機能素材ハイブリザテックを用いたアノラックパーカーはバイクに乗るときにも具合がいい。ポケッタブル仕様でコンパクトにまとまるので、日没後の気温低下や急な雨に備えてシッシーバーに括り付けておくのも好手だ。
UVカットやストレッチ性、通気性といった機能にこだわったハイスペックなウェアからスタンダードなプリントTまで、あらゆるシーンで活躍できるラインナップを展開する。グラフィックにはバイク業界でも知られるPOTS DESIGNさんや遊鷹さんを起用した。
数多のブランドが凌ぎを削り、目まぐるしくトレンドの切り替わるアパレルシーンはさながら荒らぶる大海原のようなものだ。けれど伊東さんには持ち前の壮健な精神がある。大波をものともせずにラインを見極め、華麗なマニューバーを描く姿が目に浮かぶようだ。
キャップ | FK-104-021 ¥5,500 -taxin |
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シェード | UNCROWD UC-024 ¥12,800 -taxin |
パーカー | FK-500-022 ¥26,180 -taxin ※今秋発売予定 |
L/S Tシャツ | FK-201-021 ¥6,600 -taxin |
グローブ | UNCROWD UC-110-021 ¥11,800 -taxin |
パンツ | FK-001-021 ¥12,800 -taxin |
ショップ | FRANK ONLINE SHOP |