オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

Multi Face Air Cleaner With OSR

オイル分離機構付き再燃焼システム『OSR』を導入

August 25th, 2018

マルチフェイスエアクリーナーと
オイル垂れを防ぐOSRの共演

鋳物パーツメーカーとして知られるFORKは、外観のパーツ製造ばかりか、吸排気のテクニカルシステムも自社で開発するスペシャルメーカーだ。

今回は『Multi Face Air Cleaner』と、特殊な構造を持つ『OSR(Oil Separator & Recirculation system)』の2点を深く掘り下げたい。

まず、砂型鋳造のMulti Face Air Cleanerは、ボディのシェルと中央のインサートの組み合わせで多彩なスタイリングを楽しめるプロダクトだが、そこに組み込まれるOSRに注目だ。特許登録商品でもあるこれは、ブローバイと共に排出されるオイルミストを分離して、ガスのみを再燃焼するシステムをエアクリーナーベースの内部に組み込んだもの。なので、それまでのオイル垂れを防止するファン待望のパーツである。

ここでは、今少しこの2点の実体を検証して、対応車種やOSRの内部構造、取り付け方までを紹介していきたい。

(取材協力/ハーレーダビッドソンシティ中野)

マルチフェイスエアクリーナーとOSR

Multi Face Air Cleaner

オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

鋳物専科FORKの本領が発揮された砂型鋳造のエアクリーナー。大量生産の工業製品にはない、職人の手作業ならではの温かみのある鋳肌や造形が個性となる一品は、ボディのお椀型シェルと、中央のオーバル型インサートの2ピースで構成。ラインナップされた2種類のシェルと4種類のインサートを自分好みに組み合わせて装着可能だ。

オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

そして内部のフィルターにはオリジナルのペーパータイプが採用され、シリンダーヘッドからブローバイを排出するヘッドブリーザーのモデル(’91年以降スポーツスター/’92年以降ビッグツイン)のみに適合する。

OSR(Oil Separator & Recirculation system)

オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

これまで、ヘッドブリーザーのモデルでは、どうしてもわずかなオイルがエアクリーナー下から垂れてしまったもの。

元々ノーマルの状態では、アンブレラバルブと呼ばれる箇所でオイルトラップがなされるが、バイクの個体差やそれぞれの乗り方によってはその箇所だけで完全に止めるのは難しかった。そこで、その気になるオイルを独自のシステムで解消したのがこのOSR(=オイル分離・循環機構)である。

オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

オイル分離・循環の構造は下で詳しく解説するが、美点は、エアクリーナーベースの中にそのシステムが組み込まれている点だ。この薄いスペースにその特殊機構が内蔵されているからこそ、特許商品として扱われているわけである。

さて、あらかじめ構造を簡単に言うと、エアクリーナーベースの中で、ブローバイと共に排出されるオイル分を分離。オイルはもちろん大気開放することなくキャッチリザーバーへ、未燃焼ガスはキャブレターへと再燃焼させる仕組みとなる。

理解を深めるQ&A

オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

ブローバイとは?

キャブやEFIから燃焼室に入った未燃焼ガスなどが、エンジン内部のピストンとシリンダーの間からクランクケースへ漏れ出たもの。

ブリーザーとは?

主にブローバイを排出する部分。が、クランクケース内の圧力逃がしや、逆に負圧の時の吸入も行っているため、単にブローバイ排出だけのためのものではない。

ヘッドブリーザーになったのは何年式のモデルから?

‘91年以降のスポーツスター、’92年以降のビッグツインから。この年式からヘッドブリーザーとなりブローバイはエアクリーナーへ戻されるようになった。ちなみに、環境対策が成される前はクランクケース・ブリーザーだった為、ほとんどのモデルではそもそもエアクリーナーにブローバイを戻す機構がなく大気開放していた。

なんで僕(私)のバイクからはオイルが垂れるの?

本来エンジンの外に排出したいのはブローバイなどの気体のみで、オイル分はエンジン内にあるアンブレラバルブ等でトラップされる仕組みとなっている。が、バルブの状態や、エンジンの回し方如何で個体差はあるものの、多かれ少なかれオイルがエアクリーナーの内部に放出されてしまう。そしてそれが場合によって、エアクリーナー下部より垂れてきてしまうため(スポーツスターでより顕著)。

※あくまでOSRは通常レベルで出てきてしまうオイル分を分離する機構で、アンブレラバルブの破損やその他故障による異常排出に対応するものではない。

オイル垂れを防ぐ『OSR』とマルチフェイスエアクリーナー・鋳物ハーレーパーツFORK(フォーク)

OSRを仕込める対応車種は?

ヘッドブリーザーのモデル(ビッグツインは’92年以降のエボリューション、ツインカム。スポーツスターは’91年以降)で、純正CVキャブもしくはインジェクション(※社外キャブは不可)。

『OSR with純正カバーfor Sportster』の場合は、オーバル型の2点留めエアクリーナーと、ラウンド型1点留めのエアクリーナーが付いた車種。詳しく見れば、スポーツスターの弁当型エアクリーナーといったオーバルタイプを始め、現行モデルのスポーツスターアイアン/フォーティーエイトのラウンドタイプにも対応する。

OSRの構造と取り付け方

OSR(=オイル分離・循環機構)を学ぶ

独自に開発した特許登録商品のOSR。オイルを垂らさず、ガスを再燃焼させる。長年メカニックの間で難題とされてきたフォークの解答が、このオイル分離・循環機構だ。ここでは、実際の経路を追いながらブローバイ再燃焼システムを学びたい。

【1】OSRが組み込まれたエアクリーナーベース。スケルトンタイプで構造を確認。
【2】初めに、ここからオイルミストとブローバイガスの混じったものが入って来る。
【3】そのままS字状の、ラビリンス機構と呼ばれるオイルトラップを通過してゆく。
【4】そのまま質量のあるオイルは壁に付着するが、ガスは圧力に負けて出てくる。
【5】ラビリンス(迷路)機構で付着したオイルは壁伝いに落ちて下へと溜まる。
【6】溜まったオイルはリザーバーホースへ。肉眼で量が分かるように半透明の構造。
【7】ガスは逆に上方へと流れ、そのままキャブレターに吸い込まれて再燃焼される。
【8】OSRはエボリューションエンジン以降の純正CVキャブ、インジェクションに対応。

純正カバーとマルチフェイス
2通りの使い方から選択可能

OSRの取り付け

純正カバーのオーバル型2点留めと、現行モデルのスポーツスターアイアン/フォーティーエイトを始めとしたラウンド型1点留めエアクリーナーに対応するOSR。今回は、現行モデルのスポーツスターフォーティーエイトを使って取り付けを実施。ひと通り流れを理解して行えば、作業もスムーズに進む。

【1】ラウンド型の純正カバーをそのまま使用する際の、スポーツスター用OSRキット。
【2】まずは中央のボルトをゆるめて、今付いている純正エアクリーナーカバーを脱着。
【3】カバーを外すと純正のエアフィルターがあるので、同じようにそのまま外す。
【4】樹脂製エアクリーナーのベースプレートは左右のボルトをゆるめて取り出す。
【5】プレートを外して、最後に純正クリーナーを支持していたブラケットを脱着。
【6】すべてのパーツを取り払って剥き出しとなった先鋭のFI(インジェクション)。
【7】ここから準備しておいたOSR(オイル分離・循環機構)の装着をスタート。
【8】ベースアッセンブリーの組み込み穴に、リザーバーホースを確実に固定。
【9】ベースの裏に付属のガスケットを忘れずはさんだ上で、ボルトで据え付ける。
【10】付属のボルトを使い3ヵ所を仮止め。グラつかない程度に締め込んでおく。
【11】ベースアッセンブリーの装着完了。次は本締め、エアフィルターのセットへ。
【12】ベースアッセンブリーをはさんでブリーザーボルトに前後2個のガスケットを挿入。
【13】4つのガスケットがそれぞれ中央に来るよう微調整しながら締め込んでゆく。
【14】あらかじめアルミ鋳造製のインナーカバーの段差にフィルターをはめ込んでおく。
【15】ベースにかぶせる際、インナーカバー内側の突起が図のように上に来るようにする。
【16】出荷時に組んであった頭の平らな皿ボルトを使って、インナーカバーを確実にロック。
【17】次に、純正のラウンド型カバーから縁取りのゴムをゆっくりとすべて外す。
【18】純正のセンターボルトにゆるみ止めで少量のネジロック(中強度)を塗布。
【19】この時最後まで締め込むとカバーが変形する恐れがあるので八分程度でOK。
【20】ぶら下がっていたリザーバーホースを前後シリンダーの間に通して完了。

Multi Face Air Cleanerを組む

純正カバーに対応するのがOSRのひとつの魅力でもあるが、やはりマルチフェイスエアクリーナーと合わせればその存在は一段と輝きを増す。好みの組み合わせで楽しみたい。

【1】本体はお椀型シェルと、中央のオーバル型インサートで構成される。
【2】OSRとのコンビネーションを念頭に開発されただけに相性は文句ナシ。
【3】先行してボディのお椀型シェルをしっかりと固定。プラスネジを使用。
【4】次に中央のオーバル型のインサートを同じように2ヵ所で取り付ける。
【5】シェル、インサート共に数種類用意されるので自分色に仕上げたい。
メーカー FORK
住所 東京都大田区東糀谷3-16-2
電話/FAX 03-5705-4009/03-6423-2102
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