
広島県のハーレーのカスタム業界を語る上で欠かすことのできない顔役的存在の『アーリースターズ』。そして、そのローカルシーンを真摯にサポートする『45ディグリー』。この両雄によるジョイントワークがここに来て勢いを増し、地元のハーレー業界の気運を底上げしている。
『アーリースターズ』が得意とするフレーム修正やエンジンワーク。その外注先としてパウダーコートやエンジンパーツ、内燃機加工といった面で機能するのが『45ディグリー』だが、特筆すべきは、ショップ間での分業制が円滑に確立されている点である。
ここではその主柱となる『アーリースターズ』の仕事を通じて、広島のハーレーシーンの光源を浮き立たせたい。

各々の得意分野を活かし、出来ないところは専門ショップに依頼する。この横のつながりに重きを置いたリレーションは広島県内のそれぞれのカスタムショップに息づき、それが全国でも珍しいほどのショップ間同士の良好な関係の礎を築いている。
その屋台骨を支え、ハブスポットとなっているのが1995年に創業した古豪の『アーリースターズ』だ。

かつては「カスタムショップ」としてのイメージが強かったアーリースターズ。しかし現在、そのファクトリーで行われる作業の8割は、エンジンワークとフレームの修正/製作だ。
店主中村さんは、現在の顧客の大半はプロショップからの外注依頼が占めていると話す。まさに「プロのためのプロショップ」という立ち位置だ。

注視すべきは、約15年前から導入しているフレームジグを用いた修正作業。「昔はレーザー立ててやったりしましたが、ジグを導入してからは仕事の精度もお客さんへの説明のしやすさも段違いです」。
ハーレーのフレームはエンジン部を基準に測定。中村さんはエンジンブロックをジグに据え、そこをベンチマークとしてネックの角度やアクスルの位置までを厳正に数値化する。

「’30年代、’40年代のナックルのフレームなどはどうしても真鍮だったりインロウが使ってあったりして手間がかかる。でもそれを直してあと50年は走れるようにとか、現存するものしかない貴重なフレームを復活させられるのも魅力です」
また、その技術はヴィンテージにとどまらず、現行のミルウォーキーエイトにも向けられている。ディーラーへのアプローチも含め、その技術の需要は広がりを見せている。

エンジン作業においては、単なる組み上げだけでなく「壊れたものを直す」技術が光る。ケース割れの修正やラッピング、コンロッドのレース打ち換えなど、「リカバリー」の仕事も多い。
今回使用したマーレ(MAHLE)製ピストンについては、その軽さとコーティング、そして適切なピストンピンのクリアランスが出た完成度の高さを評価。自身の感覚と、パートナーである『45ディグリー』のこのオリジナルパーツを合わせ、最適解を導き出している。

アーリースターズから45ディグリー保浦(やすうら)さんへ依頼するのは、主にシートカットやガイド打ち替えなどの「内燃機加工」、「パウダーコート」、旧車へのツインテック導入といった「チューニング」の3要素だ。
「仕事の早さは一流。スピード違反レベルです(笑)」と中村さんが言えば、保浦さんも「中村さんは数字を追ってしっかり仕事をする人。広島の重鎮でありリーダー的な存在」と敬意を表す。

昔までは自分の店で全てをやろうとして時間効率が悪かった。でも今は得意な店に仕事を渡して、時間の配分を上手く使う。それが当たり前にできている現況がこの地にはある。
「店同士の仲が良いとお客さんも行き来しやすくなるしメリットしかない」。広島のカスタムシーンは一人のキーマンではなく、プロショップ同士が手を取り合う理想的な分業システムによって、その桃源郷への路を照らし出している。

アーリースターズのエンジンワークは単に組むだけではない。壊れたものを直すのが大儀であり、ケース割れの修理や、過去の不適切な加工の修正と、リカバリー作業を日常的に取り計らう。
今回のエンジンには、MAHLE(マーレ)製のピストンを採用。軽量を第一に、コーティングとピストンピンのクリアランスが最初から適切に出ている点を賛嘆。また、フライホイールのバランス取りも合わせて行われた。

シリンダーヘッドのシートカットやバルブガイド交換、そしてパウダーコートを45ディグリーへ依頼。ヘッドワークはバキュームテスターを使い、まずどこまで傷んでいるかをチェック。修正箇所が見える化されることで作業方針が明確となる。
一方、中村さんは旧車にツインテックを導入し、シャーシダイナモでセッティングを煮詰めるなどデジタル派の側面を持つ。そのコアな要望に応えられるのも45ディグリーの保浦さんだ。

アーリースターズの業務のメインとなるのはエンジンワークと、フレーム修正/製作である。ナックルやパンヘッドといった旧車の劣化処置を始め、事故車の修理、あるいは過去にカスタムされたバイクの不具合箇所を修繕するのが中心だ。
特に1930~’40年代のヴィンテージフレームは現存するものが全てであり、これからまた50年走れるようにと、やり甲斐も大きい。パイプを削って炙って曲げてみたいなのが性に合っていると、中村さんは語る。

15年ほど前から導入するフレームジグにより不具合箇所を可視化。お客さんにネックとリアアクスル部分を含む全体的なフレームの歪み具合を、目と数値で見せられるのが特長とのこと。
最近はミルウォーキーエイトの修理も積極的に手掛け、コストを新品の1/3~1/2に抑えて納期も短縮。ディーラーや業者にとってもメリットは高いと現行モデルユーザーへのサポート体制も敷く。

広島のハーレーシーンでは「自分の不得意なことは得意な店に任せて、時間効率もクオリティも上げてゆく」という分業制の気運が高まりつつある。
そこで、地理的にも県内アクセスが良いアーリースターズが「ハブスポット(中継地点)」となり、フレームとエンジンの再生の窓口を。また、精密加工と仕上げは45ディグリーが担っている。
広島のローカル界隈はそれぞれの深厚な技術と信頼関係によって、より濃密で、ユーザーフレンドリーなものへと進化している。

「30年以上前のハーレー事情を知ってるというか、部品の名前だとかそういうのが分かったりできる人間なんでこっちは楽しいわけですよ。彼も長いことやっとるんで気が合うんでしょうね。
仕事的には早さは一流です。内容的にも納得のクオリティで、もうエンジンのヘッドだけでもウチから20個ぐらいは出してるはずなんで。遅いって感じたことはまずないですね、スピード違反ですから(笑)」

「パウダーコートで中村さんから持ち込まれるフレームひとつ見ても綺麗だなと。あとはやっぱりアーリースターズをハブスポットにして全体的にすごく滑らかに動いてますよね。
お店同士の関係が良い状態だとお客さんが他の店に行ったところで別に何にもないですから。ショップ同士の付き合いがいいと、お客さんのメリットになりますよね。そこがやっぱり一番お客さんにとっては良くなってると思います」
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| ショップ | EARLY STARS |
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